インプラント

インプラントから膿が出た!原因と予防法は?

インプラントから膿が出た!原因と予防法は?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントはただ手術を行うだけで終わりではなく、その後のケアが重要となります。インプラント治療後に起こるトラブル(膿や出血)を避けるためにはどうすれば良いかご説明します。

インプラントで膿が出るケースとは

インプラント治療後に膿が出るケースには主に2つの原因が考えられます。

  1. 手術後数日の間に膿が出た→細菌感染によるもの
  2. 手術後かなり日数がたってから膿が出た→インプラント周囲炎によるもの

1. 手術後数日の間に膿が出た

インプラント手術を受けて数日間のうちに膿が出た場合は、インプラント手術をした部位への細菌感染が原因で炎症が起こっています。放っておくと悪化する場合があるため、すぐに歯科医院に連絡し、必要な処置を受けましょう。

細菌への感染は、治療中に起こる場合と治療が終わってからのセルフケアによって起こる場合があります。もちろん歯科クリニックでは細菌感染を起こさないように細心の注意を払って治療を行っておりますが、ごく稀にですが感染が起こる場合があります。

自宅でのメンテナンスが感染の原因になったケースでは、インプラント手術後に処方された抗生物質などのお薬の飲み忘れや、お口のメンテナンス不足によって起こることがあります。歯磨きの磨き残しが多く、お口のなかに細菌が多い場合、インプラントの周囲が感染して炎症を起こし、膿が出ることがあります。

膿みが出た場合はすぐにインプラント手術を受けた歯科医院に連絡し、支持を仰ぎましょう。

2. 手術後かなり日数がたってから膿が出た

手術後かなりたってから膿が出た場合は、インプラントの周囲が歯周病になった可能性があります。インプラント周囲炎は歯垢(プラーク)の中で繁殖した細菌によってインプラントの周囲の歯茎に歯周病が起こって炎症を起こしている状態をいいます。

周囲炎によってインプラントと歯茎の間に歯周ポケットが形成され、そこに歯垢がたまると、インプラント体の表面についた歯垢を落とすのは大変難しく、周囲炎が進行してしまうリスクがあります。そのまま周囲炎が進行するとインプラントが埋まっている周囲の歯茎や骨を溶かし、重度になれば膿や出血、インプラントの動揺などの症状が起こります。

どうすればインプラントから膿が出るのを防げる?

インプラントから膿が出るなどのリスクを回避するためには、下記の二点に注意をしましょう。

 

  • インプラント手術から数日間は処方された薬を飲む
  • インプラント手術から数日間は埋入部位を避けて歯磨きを行う
  • インプラントが落ちついたらご自宅での歯磨きを毎食後にていねいに行う
  • 3ヶ月に1回など定期的に通院し、インプラントが長く使用できるよう、メンテナンスを行う

ご自宅でのオーラルケアについては、歯の表側、裏側、咬合面などを一本ずつ磨きましょう。そして、デンタルフロスや、歯間ブラシなどで歯と歯の間や、歯肉にたまった食べかすや汚れを取り除きましょう。

インプラントとは?

インプラントの構造

 インプラントとは、人工歯根(フィクスチャー)・アバットメント(連結部分)・上部構造(人工歯)の3つの部分で成り立ちます。

インプラント治療前に注意が必要な方

インプラントは外科手術を行いますので、全身疾患の持病のある方は注意が必要です。

  • 薬を日常的に服用している
  • 糖尿病・骨粗しょう症・心臓疾患などの全身的な疾患がある

このような方は、かかりつけ医に確認して許可をもらってからインプラント治療を行う必要があります。

インプラントの治療の流れ

インプラントの治療の流れをご説明します。インプラント治療には1回法と2回法があります。骨の量が十分にあり、骨の固さに問題がない場合は1回法が可能です。あごの骨が薄い方、骨が柔らかい方には2回法をおすすめします。今回は一般的な治療である2回法でご説明します。

  1. カウンセリングで患者さんの悩みをお聞きし、歯を失った原因(むし歯や歯周病による欠損・事故などの外傷による欠損)やお口の中の状態を確認する
  2. 精密検査(歯科用CT)のデータから最も適した治療計画を考え、ドクターが患者さんに提示して説明する。患者さんの同意を得られたら治療に入る。
  3. 【1次手術】局所麻酔を行い、歯を失った部分のあごの骨に生体親和性の高いチタンという金属で作製された人工歯根(フィクスチャー)を埋入する
  4. 骨と人工歯根が結合するまで(オッセオインテグレーション)数か月間待つ
  5. 【2次手術】骨と人工歯根の結合が確認出来たら、歯茎を切開して人工歯根に支台部となるアバットメントを取り付ける
  6. 2次手術後は歯茎が治癒するのを待って、上部構造(被せ物)を作製するための型取りを行う
  7. 前歯の場合はオールセラミック冠やジルコニアセラミック冠、奥歯の場合はハイブリッドセラミック冠などで作製された上部構造をアバットメントに固定する
  8. 定期的に通院してメンテナンス(定期健診・クリーニング)を受け、インプラントに異常はないか、歯茎が感染を起こしていないかなどのチェックを受ける

インプラント治療後のトラブルとは?

インプラントを行った後に、次のようなトラブルがあったら要注意です。

  • 膿が出る
  • 歯茎の炎症や出血がある
  • 口臭がする
  • インプラントがぐらつく
  • 歯茎が下がってインプラントの金属部分が見えている

一つでも当てはまる場合は、インプラント周囲炎にかかっている可能性がありますので、なるべく早くクリニックを受診して対処してもらいましょう。

インプラントを長く保つ方法は

インプラントを長もちさせるためには、口腔内を清潔に保つ以外にありません。毎食後の歯磨きを丁寧に行い、夜寝る前にはフロスでしっかりと歯と歯の間や歯と歯茎の間の汚れも落としましょう。

何よりも大切なのは、インプラント後のメンテナンスを怠らないように数ヶ月毎に歯科医院への通院を行うことです。インプラント治療後に、歯科医院でのメンテナンスを受けている方と受けていない方を比較した場合、メンテナンスを受けている方の方がインプラントを長く保つことが出来ます。

インプラントから膿が出る時の原因と予防法に関するQ&A

インプラントから膿が出る原因は何ですか?

インプラントから膿が出る主な原因は、インプラント周囲炎です。この炎症は歯垢や細菌の増殖によって引き起こされ、歯茎や骨を溶かし、膿や出血の症状が現れます。

インプラントから膿が出るのを予防するにはどうすればいいですか?

インプラントから膿が出るのを予防するためには、以下の点に注意する必要があります。まず、日常の歯磨きを食後にしっかり行い、歯垢や細菌の繁殖を防ぎます。また、定期的な通院とメンテナンスを受けることも重要です。歯科医院でのプロのクリーニングにより、歯垢や歯石を除去し、口腔内の清潔さを保ちます。

インプラントから膿が出た場合、どのように対処すれば良いですか?

インプラントから膿が出た場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。医師は炎症の原因を評価し、適切な治療を提案します。炎症が進行している場合、抗生物質や抗炎症薬の処方、インプラント周囲のクリーニング、あるいは再手術などの治療が行われる場合があります。早期の対処はインプラントの健康を保つために重要です。

まとめ

インプラントは、保険適用外のため自由診療で、費用もブリッジや入れ歯と比べて高くなります。そのため、下記の二点を兼ね備えた医院を探しましょう。体に安心で安全なインプラントをするためには欠かせない要素です。

  • 医院環境(CTが院内設備である)が整った場所でインプラントをすること
  • 症例豊富で信頼がおけるドクターにインプラントを行ってもらうこと

インプラント後の腫れや痛みがある方は、リカバリーが可能なクリニックへご相談ください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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