インプラント

インプラントは20代~80代で可能?年齢制限はある?

インプラントは20~80代でも可能?年齢制限は?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

虫歯や歯周病などで抜歯しなければならなくなった時は、ブリッジや入れ歯、インプラントという治療方法から選ばなければなりません。噛む幸せや耐久性などを考えて、インプラントという治療法に傾きかけた時、「インプラントって年齢制限あるのかな?」と疑問に思われる方もおられます。今日は、インプラント治療の際の年齢制限についてご案内します。

インプラントの年齢制限について

インプラント治療の年齢制限についてご説明します。

1. 年齢制限の有無

インプラント治療には、厳密な年齢制限はありません。基本的に、年齢にかかわらずインプラント治療を受けることは可能です。しかし、年齢に応じて注意すべきポイントや条件が存在します。若い患者さんと高齢の患者さんでは、治療に対するアプローチや考慮すべき事項が異なるため、それに応じた判断が必要です。

2. 若い患者さんの場合は18歳以降の治療が一般的

インプラント治療は、顎骨が十分に成長しきっていない若年者に対しては慎重に判断されます。顎骨がまだ成長中の場合、インプラントを埋入しても、将来的に骨の成長によって位置がずれたり、適合が悪くなったりする可能性があります。そのため、通常は顎骨の成長が完了する18歳以降に治療が検討されることが一般的です。

3. 高齢者の場合は全身の健康状態による

高齢者においても、インプラント治療を受けることは可能です。実際、80歳や90歳の患者さんでもインプラントを受けているケースがあります。重要なのは、患者さんの全身の健康状態や顎骨の状態です。高齢になると、骨密度が低下することがありますが、顎骨の状態がインプラントに適しているかどうかを事前に精密に検査することで、安全に治療を進めることができます。

4. 全身の健康状態とは?

年齢にかかわらず、全身の健康状態がインプラント治療の可否に大きく影響します。糖尿病や心疾患、骨粗鬆症などの全身疾患がある場合、治療計画に影響を与える可能性があります。これらの疾患があっても、しっかりとコントロールされていれば、インプラント治療が可能なケースも多くあります。歯科医師と内科医が連携して、患者さんの全身状態を考慮した治療計画を立てることが重要です。

5. 骨量と骨の厚さ

インプラント治療において、顎骨の状態は非常に重要です。骨量が十分でない場合や、骨が脆弱な場合には、骨移植や骨増生といった補助手術が必要になることがあります。高齢者の場合でも、これらの手術を行うことで、インプラント治療を成功させることが可能です。

6. 患者さんの意欲と生活の質

インプラント治療を受けるかどうかは、患者さんの意欲や生活の質を考慮して決定されます。特に高齢者の場合、治療後に咀嚼機能が回復し、食事が楽しめるようになることが生活の質を大きく向上させることがあります。患者さんご本人の意志と期待が治療成功の鍵となります。

結論として、インプラント治療には特定の年齢制限はありませんが、患者さんの成長段階や全身の健康状態、顎骨の状態を考慮して判断されます。歯科医師との十分な相談を通じて、最適な治療方法を選択することが重要です。

インプラントは高齢でもできる?

インプラントは、高齢でも可能なのかと尋ねられることがあります。結果的に言えば、耐えることができる手術です。

インプラント治療をすると、咬む機能が戻ることで食事が楽しくなり、人と会う事が億劫ではなくなります。手術と聞くと大仰ですが、全身麻酔や入院が必要なものではありません。還暦を迎えた60代の方、70代や80代の方でも、口腔内の歯肉組織や全身状態などの良い条件が十分揃っていると歯科医師が判断すれば、可能な治療法です。

年齢と共に骨密度は減少する?

骨密度とは、骨の量や質を表す指標で、年齢とともに減少することが一般的です。特に女性は閉経後にホルモンバランスが変化することによって、骨密度が急激に低下しやすいといわれます。そのため、女性は閉経後に骨粗鬆症をおこすリスクが高いとされます。

インプラントは歯茎の骨に直接埋め込まれるため、その骨が健康で十分な骨密度を持っていることが治療成功のために非常に重要なポイントです。骨密度が低いと、インプラントがしっかりと固定されず、インプラントの失敗につながる可能性があります。

高齢の患者さんや骨密度が低下している患者さんに対しては、インプラントをしっかりと支えるための骨の量を増やすために、インプラント埋入前に骨造成手術を受けて頂くことがあります。

年齢の他に病気の制限とかある?

インプラントをされる際は、歯周病などの歯肉組織や全身状態が大丈夫かどうかがポイントだとご説明しました。「全身状態って?具体的に教えて」と思われるので、ご紹介します。

糖尿病や膠原病、リウマチ、骨粗しょう症の疾患をお持ちの方、放射線治療を行っている方や、ビスフォスフォネートの服用中の方には、残念ながらインプラント治療をおすすめできません。ビスフォスフォネートって聞きなれない方が多いと思いますので、ご説明しますね。

ビスフォスフォネートは、骨粗しょう症や腫瘍の骨転移を防止するために用いられる薬ですが、乳がんの症例にも用いられることもある薬です。下記にも詳細が載っておりますので、ご参照くださいね。該当する慢性疾患があるけれど、どうしてもインプラントをされたい方は、その疾患の担当医に確認をとってください。

インプラントの年齢制限に関するQ&A

インプラントは何歳以上で受けられますか?

はい、インプラントは20歳以上の年齢であれば誰でも受けることができます。年齢制限はありませんが、お口の成長が終わった20歳以上が一般的です。

インプラントは高齢の方でもできるのでしょうか?

はい、高齢の方でも可能です。口腔内の歯肉組織や全身状態などが適切であれば、還暦を迎えた60代や70代、80代の方でもインプラント治療が行われることがあります。

年齢以外にインプラントの治療制限はありますか?

はい、インプラントを受ける際には歯周病や全身状態が考慮されます。糖尿病や膠原病、リウマチ、骨粗しょう症の疾患をお持ちの方や、ビスフォスフォネートの服用中の方にはインプラント治療は推奨されない場合があります。

まとめ

今回は、インプラントが治療可能な年齢についてお伝えしました。口腔内や全身状態に問題がないとドクターが診断すれば、インプラントは若くても、お年を召されても可能な治療方法であります。歯を失くして困っている方に、是非この情報が参考となれば幸いです。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

▶プロフィールを見る