前歯が抜けた、または抜歯になってしまった場合の治療でインプラントを選んだ場合に、デメリットはあるのでしょうか?前歯は奥歯とは違って、食べ物を噛みちぎるという機能面以外にも、見た目の美しさという審美的な面も欠かせません。前歯をインプラントにするときのデメリットについてご説明します。
前歯のインプラント治療の特徴
前歯は話したり笑ったりした時に他人から良く見えるため、外見や自信に大きな影響を与える重要な部位です。前歯を失った場合、インプラント治療は魅力的な選択肢の一つとなりますが、この治療法にはメリットとデメリットがあり、患者さんはそれらを十分に理解した上で決断を下す必要があります。
前歯のインプラント治療とは、失った前歯の代わりに人工歯根(インプラント体)を顎骨に直接埋め入み、その上に上部構造(被せ物)を装着する治療法です。この方法は、見た目や機能の面で天然歯に最も近い結果を得られる可能性がある一方で、いくつかの課題も存在します。
前歯のインプラントは、奥歯の場合と比べると、審美性により重点が置かれるのが特徴です。隣の歯と馴染む色や形にするのはもちろんのこと、少しの歯列の乱れならば歯並びが整うように上部構造を調整して作製することも可能な場合があります。
前歯のインプラントのデメリット
前歯のインプラントは天然の歯と見分けがつかないくらいに美しく仕上がりますが、いくつか気をつけなければならない点があります。
1.歯茎からインプラントが見えてしまうことがある
インプラント治療が終了した時には、インプラントは全て歯茎に埋まっており、歯茎の上に上部構造だけが見えている状態であっても、数年後に骨が吸収して歯茎が痩せ始めると、金属のインプラント体が露出して見えてしまうことがあります。
2.歯周病にかからないようにメンテナンスに必ず通うこと
インプラントがダメになる原因の第一位は歯周病です。インプラントの周囲が歯周病菌によって炎症を起こすことを、インプラント周囲炎といいます。
インプラント周囲炎は歯周病と同じように歯周組織を壊していき、そのまま進行すると、やがてインプラントの周囲の組織が壊されて、歯槽骨がインプラント体を支えられなくなり、インプラントが抜けてしまいます。
インプラントを長持ちさせるためには、インプラント体の周囲に歯垢や歯石がつかないように、数か月に一度の定期健診(メンテナンス)は必ず受ける必要があります。
3.インプラントは自由診療なので治療費が高い
ブリッジや入れ歯とは違い、インプラントは自由診療なので、費用が高額になります。確定申告で医療費控除の手続きをすれば、費用は税金から少し返金されます。
前歯のインプラントのメリット
前歯のインプラントは以下のようなものです。
1. 自然な見た目
インプラントは天然歯にそっくりな見た目で、インプラントであることが他人に気づかれにくいです。
2. 良く噛める
インプラントは人工歯根がしっかりと骨に埋まっているため、噛む力や咀嚼能力の回復が出来ます。
3. 長もち
メンテナンスをきちんと受けて正しいケアを行えば、インプラントは長期間持続することが可能です。
4. 他の歯への影響が少ない
歯を失った後にブリッジで治療する場合は、両隣の歯を削る必要がありますが、インプラントは隣接歯への影響はありません。
5. 顎骨の吸収を防ぐ
インプラントは噛む刺激が人工歯根を通して顎骨に伝わり、刺激を与え続けるため、骨の吸収を防ぎ、骨を維持します。
8. セルフケアが簡単
インプラントはセラミックの被せ物をした歯と同様に歯みがきが出来ます。
前歯を失った時にはブリッジ?入れ歯?インプラント?
前歯は笑ったり喋ったりする時に人から見えてしまいますので、もし前歯を失った場合には、審美性の高い治療が求められます。
歯を失った場合の治療方法はブリッジ、入れ歯、インプラントの3種類です。ブリッジ、入れ歯は保険診療でも可能ですが、インプラントは自由診療のみとなります。
しかし、見た目を天然の歯そっくりに美しく作りたい場合は、ブリッジであってもセラミックやジルコニアといった自由診療の素材を使うことをお勧めします。
ブリッジ
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削って土台にし、橋渡しのように連結された人工の歯を被せます。
被せる材料によって保険治療と自由診療が選べます。前歯の場合は、天然歯とそっくりな色に作れるセラミックやジルコニアが選ばれます。
部分入れ歯
入れ歯には全ての歯を失った方向けの総入れ歯と、それ以外の部分入れ歯があります。前歯を失った方は部分入れ歯で失った歯の機能を補います。
保険治療の部分入れ歯は、隣の歯に金属のバネをかけて安定させます。しかし、バネが人から見えてしまうので、金属のバネを使わないノンクラスプデンチャーと呼ばれる自費診療の入れ歯を選ぶ方もおられます。
また、入れ歯には噛めない、外れやすい、痛みが出る、お手入れが面倒という特有の問題があります。
インプラント
インプラントは、チタン製の人工歯根を顎骨に直接埋め込んで、その上に上部構造(被せ物)を取り付けます。
チタンには骨と結合する性質(オッセオインテグレーション)があり、しっかりと骨に固定されますので、良く噛めることが特徴です。
人工歯根を骨に埋め込むためには外科手術が必要です。また、インプラントは自由診療なので医療費が高額になるというデメリットがあります。
前歯のインプラントにはデメリットに関するQ&A
前歯のインプラントにはいくつかのデメリットがあります。一つ目は、歯茎が後退してインプラントが露出してしまうことがある点です。二つ目は、インプラント周囲炎のリスクがあり、定期的なメンテナンスが必要になることです。三つ目は、インプラントが自由診療であるため、治療費が高額になることが挙げられます。
インプラント周囲炎は、インプラントの周囲が歯周病菌によって炎症を起こすことを指します。これは歯周病と同様に歯周組織を破壊し、進行するとインプラントを支える歯槽骨まで損傷し、最終的にインプラントが抜ける原因となります。インプラントの長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが必須です。
インプラント治療が高額になる主な理由は、自由診療であるため保険が適用されず、全額自己負担になることです。加えて、インプラントは高度な技術と精密な機器を要する治療であり、使用される材料も高価であるため、全体の治療費が高くなります。
まとめ
前歯にインプラント治療をした場合のデメリットについてご説明しました。歯を失った場合の治療方法は、ブリッジ、入れ歯、インプラントの3種類ありますので、担当医とよく相談の上、治療方法をお決めいただきたいと思います。
前歯のインプラントにはいくつかのデメリットが存在します。一つの研究では、前歯の単一歯の置換は、補綴歯科医または修復歯科医にとって究極の課題であるとされています。デンタルインプラントの使用は従来の修復技術の欠点を克服しましたが、美学的な検討事項やプロステーシスの駆動インプラント配置と利用可能な骨駆動インプラント配置との間の問題が挙げられています。【el Askary A el-S, 1999】
CAD/CAMカスタムアバットメントの使用に関する別のレビューでは、アバットメントのデザインと材料選択に焦点を当てています。CAD/CAMアバットメントは様々な材料で利用可能であり、審美的、機能的、生物学的要求を満たすために異なる接続プラットフォームを備えています。この技術の使用は、ストックアバットメントや従来のカストムアバットメントに比べて明確な利点を提供しますが、CAD/CAMアバットメントもまた利点と欠点、合併症を持っています。【De Kok et al., 2018】
これらの研究から、前歯のインプラント治療におけるデメリットとして、美学的な課題や適切なインプラント配置の問題、さらには特定のアバットメント選択に関連する合併症の可能性があることが示されています。これらの課題に対処するためには、治療計画の段階でこれらの要素を慎重に検討し、適切な技術と材料を選択することが重要です。