インプラントの基礎知識

インプラントの太さや長さはどのくらい?基準と選び方をわかりやすく解説

インプラントの太さや長さはどのくらい?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントの太さや長さはどのくらいですか?

インプラントの太さや長さにはいくつかのバリエーションがあり、骨の状態や埋入部位によって適切なものが選ばれます。

この記事はこんな方に向いています

  • インプラント治療を検討している方
  • インプラントの仕組みやサイズが気になる方
  • 自分の顎の骨に合うインプラントを知りたい方

この記事を読むとわかること

  1. インプラントの太さ・長さの一般的な目安
  2. なぜサイズ選びが重要なのか
  3. 骨量や部位によるサイズの違い
  4. 骨が少ない場合の対応方法

 

インプラントの太さや長さはどのくらいですか?

インプラントの太さは一般的に直径3.0mmから5.0mm程度、長さは8mmから15mm程度が標準的です。ただし、骨の厚みや高さに応じて「細いタイプ(ナローインプラント)」や「短いタイプ(ショートインプラント)」なども存在し、ケースに合わせて選択されます。

標準は太さ3〜5mm、長さ8〜15mm程度です。

なぜインプラントの太さや長さが大切なのですか?

インプラントは骨に埋め込まれて噛む力を支えるため、その安定性が重要です。太さや長さが骨に適していなければ、インプラントがしっかり固定されず、脱落やトラブルのリスクが高まります。また、審美的にもサイズ選びは大切で、前歯部では自然な見た目を得るために調整が必要です。

サイズは安定性と見た目の両方に直結します。

どんな種類のインプラントサイズがあるのですか?

インプラントには、太さや長さのバリエーションが豊富に用意されています。骨や部位に応じて適切なサイズが選ばれ、治療の成功率を高めています。

種類は複数あり、ケースに合わせて選べます。

太さの種類

  • ナローインプラント(3.0mm以下):標準のものよりも細いインプラントの総称で、骨幅が狭い部位や前歯部に使用される
  • スタンダードインプラント(3.5〜4.0mm程度):多くの症例で使われる一般的な太さ
  • ワイドインプラント(5.0mm以上):標準のものよりも太いインプラントの総称で、大臼歯部や骨幅が広い部位で使用

長さの種類

  • ショートインプラント(6〜8mm) → 標準のものよりも短いインプラントの総称で、骨の高さが不足している場合に使用
  • スタンダードインプラント(10〜12mm) → 最もよく使われる標準的な長さ
  • ロングインプラント(13mm以上) → 標準のものよりも長いインプラントの総称で、骨の高さが十分な場合に使用

このようにサイズの選択肢があるため、患者さんごとに最適なものが用いられます。インプラントは「サイズが合えば良い」という単純なものではなく、噛む力の分散や骨との結合を考慮した上で決定されます。

部位によってインプラントのサイズは変わるのですか?

前歯と奥歯、上顎と下顎では骨の状態が異なるため、インプラントのサイズも変わります。前歯は見た目やスペースを考慮して細めのインプラントを、奥歯は強い噛む力に耐えるため太めのインプラントを使うことが多いです。

部位ごとに適したサイズが選ばれます。

部位 骨の特徴 選ばれるインプラントの傾向
上顎前歯 骨が薄い 細め・短めのインプラント
下顎前歯 骨がやや狭い 細め〜標準のインプラント
上顎奥歯 骨が柔らかい 太め・やや長め
下顎奥歯 骨が硬い 標準〜太め・標準長さ



このように、部位ごとに骨の厚みや質が異なるため、歯科医師は術前のCT検査をもとに適切なサイズを選択します。

骨が少ない場合や特殊なケースではどう対応するのですか?

骨の量が不足している場合、ショートインプラントやナローインプラントが活用されることがあります。また、骨造成と呼ばれる手術で骨を補い、標準的なサイズを入れる場合もあります。状況に応じて適切な対応が取られるため、相談が大切です。

骨が少なくても対応方法はあります。

対応方法の例

  • 骨造成(骨を補う処置)
  • ショートインプラントの使用
  • ナローインプラントの使用

骨の状態が理想的でなくても、インプラント治療が不可能とは限りません。専門的な判断に基づき、適したサイズや補助手段を選択することで、成功率を高めることができます。

インプラントの太さや長さが合っていないとどんなリスクがありますか?

インプラントの太さや長さが骨や部位に合っていない場合、治療の成功率が下がり、さまざまなトラブルが起こるリスクが高まります。太さが骨より大きすぎれば骨が圧迫されて壊死を招くことがあり、逆に細すぎると噛む力に耐えられず破損や緩みにつながります。

長さが不足すれば固定が不安定となり、長すぎると神経や副鼻腔を傷つける危険性があります。サイズ選びは治療の安全性に直結するため、歯科医師による精密な診断が欠かせません。

サイズが合っていない場合、脱落や神経損傷などのリスクを高めます。

主なリスクの例

  • 固定不足による脱落や緩み

    → インプラントが骨にしっかり支えられず、噛む力で動いたり外れてしまう。
  • 骨へのダメージ

    → 太すぎるインプラントを入れると骨が圧迫されて血流が悪化し、壊死や骨吸収を招くことがある。
  • インプラントの破損

    → 細すぎるサイズを選ぶと噛む力に耐えきれず、インプラント体や上部構造が破折するリスクがある。
  • 神経や副鼻腔の損傷

    → 下顎では神経管、上顎では上顎洞に近接しているため、長すぎるインプラントを選ぶと損傷を与える可能性がある。
  • 審美性の低下

    → 前歯部で太さが不適切だと、歯ぐきのラインや見た目に違和感が出る場合がある。



インプラント治療において、サイズの選択は「ただ入れば良い」ものではありません。骨との適合性が不十分であれば、噛む機能や見た目に影響が出るだけでなく、治療そのものが失敗に終わることもあります。

特に神経や副鼻腔といった解剖学的な構造との位置関係は非常に繊細であり、ほんの数ミリの違いが大きなリスクにつながります。そのため、歯科医師はCT撮影やシミュレーションを通じて慎重に太さや長さを決定し、患者さんにとって最も安全で適切な選択を行います。

患者さんが知っておくべきことは何ですか?

インプラントの太さや長さは患者さんが自由に選ぶものではなく、骨の状態や部位に応じて歯科医師が判断します。そのため、自分の骨の状態を正確に知ることが大切で、事前のCT検査やカウンセリングが重要です。

サイズは歯科医師が診断して決めます。

まとめ

インプラントの太さは3〜5mm、長さは8〜15mm程度が一般的ですが、骨の厚みや高さ、部位によって最適なサイズは変わります。細めや短めのインプラントも選択肢にあり、骨造成による対応も可能です。

大切なのは、患者さんごとに最も適したサイズを専門の歯科医師が診断するという点です。気になる方は、まず歯科医院で相談してみましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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