インプラントの基礎知識

前歯のインプラントはどうして難しいの?

前歯のインプラントはどうして難しいの?

前歯のインプラントは一般的に審美性という難しさがあります。前歯のインプラントが奥歯と比べて難しいといわれる点についてご説明します。

【動画】前歯へのインプラント治療

前歯のインプラントはどういう点が難しいのか?

笑顔の女性

前歯を虫歯や歯周病などで失ってしまった時の治療の選択肢にはブリッジ、入れ歯、インプラントがあります。インプラント自体が特別な技術を要する治療であり、難易度は高いのですが、その中でも前歯のインプラントは他の歯へのインプラントとは違った難しさがあります。

前歯を失ってインプラントにしようとしたときに、一番に求められるのは見た目のきれいさ、つまり審美性が高く美しいかどうかです。そのため前歯のインプラント手術には手術自体の技術が必要であると共に、前歯の歯茎のラインが自然に美しく見えるようにする審美的な技術が求められるなど、様々な難しい点があります。

1.インプラントの為の十分な骨量があるか

インプラント体

インプラントでしっかり噛める歯を作るためには、まずインプラントを埋入するために必要が骨量が十分にあるかどうかが問題になります。

骨が少ない場合にはインプラント体が骨と結合しにくく、また骨の厚さや幅が足りない場合に無理にインプラントを埋入すると、インプラント体の先端が骨を突き抜けて歯茎側に露出したり、上顎洞と呼ばれる頬の裏側の空洞の部分に突き抜けてしまったりします。

歯がない期間が長ければ長いほど、骨は痩せて少なくなっていきますので、歯を失ってから長い年月が経っている方は骨が足りない可能性があります。その場合は増骨の処置が必要になり、治療期間、費用共に多くなります。

日本人の顎骨は欧米人と比べると上顎の骨の量が少なく、また女性は男性よりも骨が薄く華奢であることが多い傾向にあります。そのため日本人女性はインプラントをするには骨の量が不足しているというケースが多くあります。しかし増骨の手術をすればインプラントが可能になる場合が多いので、ご安心ください。

2.審美性の高い仕上がりにするための技術があるか

笑顔の女性

前歯は喋ったり笑ったりするときに、歯の中では一番目立つ部分です。人の第一印象を決めるのは見た目が55%(メラビアンの法則)ともいわれています。

笑った時に下唇が描く曲線のことをスマイルラインといいます。審美歯科では、前歯の先端がスマイルラインに沿っていると美しい歯並びであるといわれます。

上の前歯は見た目が他の天然歯の前歯と区別がつかないくらいに歯の色や形にこだわって美しく仕上げないと、治療後に患者さんはがっかりしてしまうでしょう。そのためインプラントの埋入位置や、上部構造の材質や形、色にしっかりとこだわった治療が必要になります。

前歯インプラントに求められる審美的な要素

  1. 隣接する歯と左右対称にみえるようにする
  2. 歯と歯の間の三角の歯茎(歯間乳頭)がバランスのいい状態である
  3. 上部構造の根元の金属が露出せず歯茎に隠れている
  4. 歯茎に金属部分が透けて見えていない
  5. 歯茎の縁のボリュームや高さが自然で他の歯とマッチしている
前歯のインプラントを失敗しないためにすべきこと
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上顎の為の骨造成手術

骨造成のための手術にはサイナスリフト、ソケットリフト、GBRなどがあります。

サイナスリフト・ソケットリフト

上顎には上顎洞(副鼻腔)と呼ばれる大きな空洞が頬の下あたりにあります。前歯が抜けた部分から上顎洞までの距離がない場合に「インプラントが出来ない」という診断になり、当院に相談に来られる場合があります。

その場合、サイナスリフト、ソケットリフトと呼ばれる骨造成のための手術を行い、上顎洞を覆うシュナイダー膜という粘膜を押し上げてスペースを作り、インプラントを埋入するための骨を作ります。

GBR(骨再生誘導法)

GBR(Guided Bone Regeneration:骨再生誘導法)とは、インプラント手術をしたいが骨の厚みや高さが足りないという場合に行う歯槽骨の再生手術です。

GBRでは、骨を増やしたい部分をメンブレンという人工膜で覆い、その中に自家骨や人工の骨補填材を詰めて骨芽細胞の増殖を促します。

抜歯の際にはその後の治療法も検討する

抜歯の予定がある方は、抜歯後にどのような治療で抜けた歯を補うのかを考えておく必要があります。その後の治療法を決めずに抜歯を行った場合、抜歯後に治療せずにそのまま放置してしまう可能性があるからです。

歯がない状態で放置すると骨の吸収がどんどん進んで、骨が減っていきます。何年かしてインプラント治療をしたいと思っても骨が足りないため、まず骨造成の処置をしなければインプラントを埋入出来ないということになってしまいます。

それだけでなく、噛むときに他の歯に負担をかけたり、抜けた歯のスペースに歯が動いて噛み合わせに影響したりする場合もあります。

抜歯が必要になった段階で、抜歯後の場所をどの治療法で補うのかを主治医としっかり相談することが大切です。

前歯のインプラントの上部構造の材質について

前歯のインプラントはより美しい審美性が求められます。天然の歯と殆ど違いがわからないくらい自然な前歯を再現するためには、オールセラミックかジルコニアそおすすめします。

どちらも審美性、耐久性ともに優れており、表面に歯垢がつきにくい素材です。

ジルコニア冠

ジルコニアセラミッククラウン

ジルコニアは歯科で使用される材料の中で最も硬くて強い材料で、人工ダイヤモンドとも呼ばれます。欠けたり割れたりといったトラブルが少なく、変色や劣化が起こりません。

ジルコニアは形成が難しい材料なのですが、熟練した歯科技工士により患者様お一人おひとりに合わせて上部構造を形成し、自然に見えるようにグラデーションなどの彩色を施してでより美しく仕上げます。

オールセラミック冠

ジルコニア冠に次ぐ天然歯と見分けがつかないくらい美しいセラミックの被せ物です。前歯の被せ物として一般的に良く使われる材料です。

前歯のインプラントの症例

当院のインプラント治療で美しい前歯を取り戻した症例です。詳しくはリンク先をご覧ください。

症例1:骨移植後前歯にインプラントを埋入

骨移植後に前歯にインプラントを埋入

右上1番の歯根破折(歯の根が折れている)により抜歯し、骨移植、歯肉移植を行ってからインプラントを埋入しました。

治療方法

歯の根が折れていたため、抜歯して骨移植、歯肉移植を行い、インプラントを埋入しました。

費用

・骨移植 ¥100,000 (税抜) ・歯肉移植 ¥80,000 (税抜)・ 静脈内鎮静法 2回 ¥140,000 (税抜) ・インプラント ¥250,000 (税抜) ・セラミックアバットメント ¥60,000 (税抜) ・ジルコニアセラミック冠 ¥120,000 (税抜)

リスク

インプラントは自由診療なので保険適応の治療と比べて治療費が高額になります。インプラントが骨と定着するのを待つ期間が必要なので治療期間が長くなります。手術後に腫れることがあります。

症例2:骨移植後前歯にインプラントを埋入

骨移植後前歯にインプラントを埋入

かかりつけの歯科医院にて前歯を抜歯した際に、歯茎と骨が大きく陥没してしまいました。ブリッジをすすめられたものの、陥没した部分がきれいにならないと見た目が良くないので、当院に相談に来られました。陥没部分をきれいに再生するために骨移植と歯肉移植を行い、インプラントを埋入しました。

治療方法

陥没している部分に骨移植を行い、骨を増やしました。その後インプラントを埋入して、セラミックのかぶせ物を取り付けました。

費用

・骨移植 ¥100,000 (税抜)・歯肉移植 ¥80,000 (税抜)・静脈内鎮静法 ¥70,000 (税抜)・インプラント ¥250,000 (税抜)・セラミックアバットメント ¥60,000 (税抜)・ジルコニアセラミック冠 ¥120,000 (税抜)・仮歯 ¥30,000 (税抜)

リスク

インプラントは自由診療なので保険適応の治療と比べて治療費が高額になります。インプラントが骨と定着するのを待つ期間が必要なので治療期間が長くなります。手術後に腫れることがあります。

まとめ

前歯のインプラント治療がどうして難しいのかについてご説明しました。インプラントはもちろん噛むという目的も重要ですが、前歯においてはいかに天然歯と見分けがつかないくらいに美しく作れるかという審美性も大切です。そのため歯科医師や歯科技工士の技術によって仕上がりの満足度が変わります。

まずインプラントの初診相談でインプラント治療の説明を受け、治療内容や治療後のメンテナンス、保証についても納得してから治療をお受け下さい。