インプラント

やらなきゃよかったと後悔しないインプラント治療とは?

やらなきゃよかったと後悔しないインプラント治療とは

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

「インプラント治療なんてやらなきゃよかった」「インプラント受けたのにかぶせ物が破損して後悔」「顎のしびれが残った」など、少し怖いお話を耳にすることがあります。

しっかり咬みたくてインプラント治療を選択されたのに、より悪化してしまってはなんの意味もありません。

やらなきゃよかったと言わないようにしっかり知りたい。インプラントの失敗に至る原因って?

入れ歯の痛み

そもそもインプラントに至る原因とは何でしょうか。

まいどなニュースという関西の新聞社やメディアが参加したニュースサイトに取り上げられた記事をご紹介します。<まいどなニュース「虫歯や歯周病は「そのうち治る」ことはない、放っておくと危険な場合も」2019年10月22日掲載>

「歯が痛いけど痛み止めを飲んでおけばいいや」と虫歯を治療せずに放置していると、虫歯の進行により歯の中の神経が死んでしまいます。そのまま更に進行すると抜歯をしなければならなくなります。更にその後の治療法として、インプラント、入れ歯やブリッジの方法を視野に入れなければなりません。若い方々は歯を失うという問題を特に深刻に考えないかもしれません。しかし高齢になると、歯がないために食事で栄養が摂れなくなると、体が衰えたり病気になってしまいます。

歯を失う原因で今多いのは、主に虫歯、歯周病です。歯を失って何年もたってからインプラントを希望される患者さんは、骨が減ってしまっていてインプラントをするには骨量が足りない場合がありますので注意が必要です。

歯が抜けて何年も経過すると、歯が生えていた部分のあごの骨が吸収されて少なくなってしまっており、骨の状態が悪くなっています。インプラント治療は人工歯根を骨に埋め込まないといけない為、骨が少ないと埋めることができません。

増骨の処置をすればインプラント手術が可能になりますが、骨造成のための費用や期間などが余分にかかる為、半年~1年ほど治療期間が長くなります。

歯周病が原因で歯を失った方がインプラント治療を行いたい場合は、まず歯周病をある程度治してからインプラント治療に臨まなければいけません。

インプラントの失敗例にはどんなものがあるの?

インプラント治療は外科手術を行うため、失敗する場合もないわけではありません。一般的にインプラントをやらなきゃ良かったと思わような失敗例として、次のようなものがあげられます。

1.インプラントの埋め込みが不適切

治療計画通りの位置に適切にインプラントが埋め込まれていない場合、インプラント治療が失敗する可能性があります。安全な場所に正しい角度で埋め込まれることで、噛む力が出ます。

2.インプラント周囲炎に感染してしまった

天然歯の持つ歯根膜がインプラントの周囲にはありませんので、インプラントは感染に弱いという特徴があります。周囲の組織が歯周病に感染してしまうと、歯茎に損傷を与え、次第に骨が失われてインプラントがグラグラになるという失敗例があります。

3.メンテナンスを受けていなかった

インプラント周囲炎を避けるために、インプラントは定期的にメンテナンスを受けてクリーニングを行う必要があります。もしメンテナンスを怠るとインプラントに汚れが蓄積してその中で細菌が繁殖し、周囲炎を起こすリスクが高くなります。

インプラント治療の失敗リスクを減らすためにできることは?

インプラント治療を失敗して「やらなきゃ良かった」と後悔しないために、インプラント治療の失敗リスクを減らすためにできることは次のとおりです。

1.経験豊富な歯科医に手術してもらう

インプラント手術に慣れている歯科医師に手術してもらうことは大切です。経験豊富で評判の良い歯科医師を選ぶようにしましょう。

2.手術前の検査をきちんと受ける

最近ではインプラント治療前にCT撮影をしない歯科医院はかなり減っていますが、安全な治療計画を立てるために、検査はきちんと受けるようにしましょう。必要な検査を行わない歯科医院でのインプラント手術は危険を伴います。

3.手術後のメンテナンスを受ける

手術後にインプラントを適切に管理し、長もちさせるためには、定期的にメンテナンスを受ける必要があります。そのため、あまり自宅から遠い医院に通うことは先々の負担になることも考えておきましょう。

やらなきゃよかったと言わないようにしっかり知りたい。インプラントのメリット、デメリットは?

インプラントのメリット

インプラントのメリット

インプラントは、人工的に作られた歯根を顎の骨に埋め込むことで、欠損した歯を置き換える治療法です。以下に、インプラントの主なメリットをいくつかご紹介します。

1.自然な見た目と機能

インプラント体は顎骨に埋め込まれて歯茎の中に隠れますので、歯茎の上に出ている部分は上部構造のみです。上部構造は主にセラミックで作られるため、天然歯と見分けがつかないくらい審美的に美しく作ることが出来ます。

また、インプラント体は顎骨に結合することでしっかりと固定されるため、力を入れて噛めるようになります。

2.耐久性が高い

日常のケアを正しく行い、数か月に一度歯科院でメンテナンスを受けることで、インプラントは長期にわたって機能します。詰め物や被せ物といった補綴に比べると寿命が長いという特徴があります。

3.他の歯を削ったり傷めたりしない

インプラントは骨に埋まって自立しているので、周囲の歯を削ったり周囲の歯に支えてもらう必要がありません。隣接する歯を損傷リスクが低いということは、新たに歯の欠損を招くことがないため、他の健康な歯を保護するということに繋がります。

4.食事や会話が快適になる

インプラントによって人工の歯を補った結果、噛む力が向上するので何でも食べられるようになり、食事が快適になります。

また、入れ歯で空気の漏れが起こって特定の音の発音がやりにくかった方にとっては、会話がしやすくなるでしょう。

5.口腔内での違和感がない

インプラントは入れ歯と比べるとお口の中で比べ物にならない程快適に機能します。差し歯と同じで、しばらく経つと一見どの歯がインプラントなのかわからなくなってしまう程です。

また、インプラントは噛む力が強いために、入れ歯やブリッジよりも安定して良く噛めるので違和感や不便さを感じることがなくなります。

インプラントのデメリット

インプラントのデメリット

インプラントのデメリットは、外科手術におけるリスクが高い点と、やはり費用が高額になることです。入れ歯やブリッジが保険適用なのに比べて、インプラントは保険がききませんので、どうしても料金が高くなってしまいます。

ただし、ブリッジも審美性を追求すれば前歯の場合は自費診療のセラミック製の被せ物を選ぶことになり、治療費が高額になりますし、入れ歯も見た目や着け心地を追求すれば自費診療になります。

自費診療はクリニックにより値段の差がありますので、インプラントは歯が抜けた等のお悩み以外にも検討しなければいけない点が多いと思います。

後悔しない為には説明を怠らない歯科医院を選ぶこと

プレジデントオンラインに掲載されている記事をご紹介します。”1本7万円”格安インプラントの実態<プレジデントオンライン2019年5月10日掲載>

相場より大幅に安い医院を覆面調査したライターさんの体験記事ですが、要約すると、CTやレントゲンの検査後、インプラント以外の他の治療法の種類を教えてくれなかったようです。

外科手術におけるリスク説明もなく、カウンセリング時に相場と変わらない見積もり書を渡され、院へ不信感を抱かれたと書いてあります。

結局この記事を書かれたライターさんは、別のクリニックで治療されたのかなと推察しますが、費用を高く、長い時間もかけてインプラント治療をしたのに、負担を強いる失敗、気が滅入るような後悔なんて、どなたもしたくありませんよね。

ここで重要な点は、手術は必ずリスクがありますので、デメリット面も詳しく説明してくれる担当医に出会うことが重要です。そのためにはどうしたらいいのでしょうか。

無料カウンセリングを受けること、そして複数の医院で相談をされることです。かかりつけの歯科医院でインプラントを診療していて勧められても、念のためにセカンドオピニオンとして他の医院へも足を運んでみてください。「なんかいつものお医者さんに悪いし」と思わず、インプラント治療には高い治療費やリスクのこともありますので、ここはきっちり納得ができるまで良い医院を探しましょう。

面倒かもしれませんが、実際に複数の医院のカウンセリングを受けることで、おのずと「この先生は頼れそう」「今回の先生は説明が不十分だったな」と、様々なことがわかってくるものです。ホームページの謳い文句や情報に惑わされず、実際のコミュニケーションにより「このクリニックのこのドクターは信頼できるか」見極めましょう。

医院の感じが自分だけで見極められるか不安な方は、ご家族と一緒に来院されてもいいですね。冷静に病院の情報を把握し判断することが大切です。

後悔しないためにはCTが院内に設置されており症例数の多い医院であること

歯科用CT

 

では、後悔しないためにはどのような医院を選べばいいのでしょうか。医院の症例数という実績は、大事な検討材料の一つです。不慣れな医者が手術をして、動脈損傷により死亡事故を起こしてしまったという痛ましい事故もありました。

年間で多数のインプラント手術を行っており、技術が高く信頼がおけるドクターを担当医にされて、安全な手術を受けて下さい。疑問や不安点、既往歴や病歴などあれば、隠さずドクターに打ち明けることが大切です。

インプラントの失敗に関するQ&A

インプラント治療が失敗する原因は何ですか?

失敗する主な原因は埋め込み位置の不適切さ、感染症、および適切なメンテナンスの不足です。これらは患者のケア不足、または歯科医師の経験不足による可能性があります。

インプラントが不適切な位置に埋め込まれた場合、どのような問題が発生しますか?

正確な位置に埋め込まれなかったインプラントは、適切に噛む力を出すことができず、食事や話すことに支障をきたす可能性があります。

インプラント周囲炎とは何ですか?どのように予防すればよいですか?

インプラント周囲炎は、インプラント周囲の組織が感染し、歯肉に損傷を与え、次第に骨が失われる症状です。これを予防するには、定期的にクリーニングやメンテナンスを受けることが重要です。

 

まとめ

不安点がすべて解消され、インフォームドコンセントもしっかりと確認して、やっとインプラントの治療を開始することが出来ます。インプラントは治療後のメンテナンスをしっかりと行えば、一生に近い期間保つことも不可能ではありません。「やらなきゃよかった」と後悔しないように、まず医院選びをしっかり行いましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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