
こんにちは。
大阪インプラント総合クリニック 歯科医師の松本 正洋です。
「オールオン4の寿命ってどれくらい?」「長く使い続けるにはどうしたらいい?」
このようなご相談を、患者さんからいただくことがよくあります。
オールオン4は、失った歯を補うための優れたインプラント治療ですが、決して安価な治療ではありません。だからこそ、“どうやって長く使っていくか”がとても大切なのです。
今回は、そんなオールオン4を少しでも長く快適に使っていただくためのケアや習慣、そして注意点について、できるだけわかりやすくお話ししていきますね。
目次
オールオン4とは

オールオン4とは最少本数でしっかり噛める画期的な治療法
総入れ歯で「噛みにくい」「外れやすい」「話しづらい」といったお悩みを抱えている方へ
オールオン4は、4〜6本のインプラントで上下どちらかの10〜12本の歯を支える治療法です。
上部構造(人工歯)はすべて一体型で、即時荷重インプラントと呼ばれる技術により、手術当日に仮歯の装着が可能。その日からお食事もできます!(※やわらかい物を選んでくださいね)
また、日本人は骨量の関係から6本のインプラントが必要になることも。左右2本のインプラントは斜めに埋入され、神経や血管を避ける設計になっています。

オールオン4では、左右の2本のインプラントを斜めに埋入するのが特徴です。斜めに埋入することで、神経や血管を避けて安全に埋入することが出来ます。
オールオン4の寿命を短くする要因は?
オールオン4の寿命を縮めてしまう主な要因は、実は一般的なインプラントと同じです。
- 歯磨き不足などのセルフケアの不徹底
- 定期健診を受けていない
- 喫煙の習慣
- 糖尿病などの生活習慣病
- 噛み合わせの異常
日常の小さな“油断”が積み重なることで、大きなトラブルに繋がることもあるんです。
インプラントを長もちさせるには?
オールオン4の長もちのためには、正しいケアと定期健診、そして喫煙や生活習慣病に気を配る必要があります。詳しくは以下のような事柄です。
1. 口内を清潔に保つためのセルフケア
- 毎日の歯磨きに加え、フロス・タフトブラシ・洗口液を活用しましょう。
- 目に見えない細菌が、インプラント周囲の炎症を引き起こすことがあります。
インプラント周囲の歯茎や上部構造のクリーニングは重要です。適切な歯磨きやフロス、タフトブラシ、洗口液の使用方法を実践することで、インプラント周囲の細菌の繁殖を防ぎ、寿命を延ばすことができます。
2. 歯科医院で定期的なメンテナンスを受ける
- 歯科衛生士によるクリーニングは、セルフケアでは届かない部分の清掃に効果的です。
- インプラント周囲炎の早期発見にもつながります。
定期健診や歯科衛生士による歯のクリーニングは、インプラントの状態を確認し、何か問題が発生している時に速やかに発見するために不可欠です。定期健診の際にインプラント周囲の炎症が起こっていないかを専門家が判断し、クリーニングによって感染を予防することで、インプラントの寿命を延ばすことができます。
3. 噛み合わせの調整
- 力のかかり方に偏りがあると、インプラントに過度な負担がかかり、早くダメになることがあります。
- 調整によって力を分散させ、長持ちしやすい状態に保ちましょう。
正しい噛み合わせを維持することはインプラントの寿命に直接影響を与えます。噛み合わせが狂っている際には速やかに必要な処置を行う必要があります。噛み合わせの調整を行うことで、インプラントへの負担を軽減し、寿命を延ばすことができます。
4. 生活習慣と基礎疾患の影響
喫煙の習慣や糖尿病などの生活習慣病は、インプラントの寿命に悪影響を与える可能性があります。禁煙や糖尿病のしっかりとした管理を行うことが、インプラントの寿命を延ばすことに繋がります。
基礎疾患として注意が必要なもの
- 高血圧症
- 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)
- 呼吸器疾患(気管支喘息、COPD等)
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 消化器障害(胃・十二指腸潰瘍等)
- 血液疾患(貧血・血小板異常等)
- 糖尿病
- 免疫疾患(金属アレルギー等)
- 骨粗しょう症
5. 特殊なケースへの対応
骨粗しょう症などの基礎疾患を持っておられる方は、インプラントのケアに特別に注意する必要があります。検査結果を適度な数値にコントロールすることがインプラントの寿命を延ばすことに繋がります。
6. 寿命延長のための新しい技術や研究
インプラント技術は日々進化し、インプラントの寿命延長に効果が見込める新しい治療法や材料の研究が進んでいます。最新の術や研究に関心を持ち、それらを積極的に取り入れることも、インプラントの寿命を延ばすことに繋がります。

寿命を延ばすためには生活習慣を改善しよう
オールオン4の耐久性を保つには、毎日の生活習慣を見直すことが大切です。
禁煙と飲酒制限
喫煙はインプラント周囲の血流を妨げ、歯茎の健康に悪影響を及ぼします。できるだけ禁煙し、飲酒も適量に抑えるようにしましょう。
健康的な食生活
バランスの取れた食事を心がけ、歯やインプラントの負担を減らすことが、オールオン4を長く快適な状態に維持することに繋がります。
日々の現場で感じる「オールオン4を長持ちさせている患者さんの共通点」
私が多くのオールオン4治療に携わる中で実感するのは、「長く快適に使っている方ほど、毎日の歯磨きと定期健診を欠かしません」。特に専用の歯ブラシやフロス、洗口液を正しく使っている方は、インプラント周囲組織も健康的に保たれているケースが非常に多いと感じています。
毎回の定期健診をきちんと受けていただいている患者さんは、10年以上問題なくご自身の歯のように”使い続けている例も珍しくありません。
インプラントの大敵はインプラント周囲炎
インプラント周囲炎にかからないように、しっかりとメンテナンスできるかどうかが、インプラントを長くもたせるための鍵となります。
インプラント周囲炎にかかると、インプラントの周囲の歯茎や骨に細菌による炎症が起こって歯周病と同じような症状が出ます。歯茎の腫れから始まって、歯周組織が次第に壊されていき、歯槽骨へ症状が広がっていくと、インプラントがグラグラになり、最終的には骨から抜けてしまいます。
天然歯には歯根膜がありますが、インプラントには歯根膜がありません。そのためインプラントの周囲は細菌感染に弱く、骨の吸収が起こりやすくなります。

オールオン4は歯磨きしにくい?

オールオン4は上部構造の歯が全て繋がって1体となっているものをインプラントの上に被せます。そのため、上部構造の下の歯茎をセルフケアで触ることは出来ません。しかし上部構造とインプラントの間の隙間には歯垢が溜まりやすいため、数か月に一度の定期健診でメンテナンスをしてもらいましょう。
セルフケアで出来るのは、上部構造を丁寧に歯磨きすることと、上部構造とインプラントの間をタフトブラシ、マウスウォッシュ(洗口液)で洗うことです。お口の中を清潔にすることで、口腔内の細菌を減らすことが出来ます。
【動画】All-on-4はどんな治療? 写真でわかりやすく解説しました
まとめ
オールオン4を長もちさせるためには、毎日の歯みがき等のセルフケアに加えて、数ヶ月毎に歯科医院でのメンテナンス(定期健診)を受けることが大切です。また、喫煙の習慣や、糖尿病などの生活習慣病もインプラントに悪い影響を与えますので、注意が必要です。