
総入れ歯をしておられる方の多くは高齢者の方だと思います。高齢者の方でもインプラントは可能で、総入れ歯の方にはオールオン4やインプラント・オーバーデンチャーをお勧めしています。
ただし、若い方と違って、骨がもろい方が多いことや、歯が抜けてから何年も入れ歯を使っていたために顎の骨が痩せてしまって、インプラントを埋め込む前に、まず造骨の処置をしなければならない場合もあります。
目次
総入れ歯の方に最適なオールオン4(オールオンフォー)
総入れ歯の方には、オールオン4(all-on-4)という治療法があります。
失った歯1本につき1本のインプラントが必要だとしたら、総入れ歯の方は14本ものインプラントを埋め込まなければならなくなりますが、そんなことはありません。
オールオン4では、4~6本のインプラントで14本分の上部構造を支えます。オールオン4の上部構造は一体型になっていますので、総入れ歯をインプラントで固定するようなイメージで考えて頂ければ大丈夫です。


どうして4~6本という少ない数で支えられるのかというと、オールオン4では骨のある部分を選んで斜めにインプラントを埋め込むことが出来るからです。
オールオン4が総入れ歯の方に最適な理由
1. 最小限のインプラントで安定する
オールオン4は、上下それぞれの顎に4本のインプラントを埋め込み、その上に固定式の人工の歯を取り付ける治療法です。通常のインプラントでは1本の歯に1本のインプラントが必要ですが、オールオン4では4本のインプラントで12本の歯を支えるため、治療が比較的シンプルで済みます。インプラントの埋入本数が少なくて済むため、患者さんの負担が軽減されます。
手術と同日に仮歯が装着出来る
オールオン4の大きな特徴は、手術当日に仮歯を装着できる点です。これにより、患者さんは手術後すぐに食事や会話をすることが可能になります。ただし、インプラントが安定する迄の間、食事は柔らかいものに限ります。総入れ歯の場合、固定されていないため食事の際に動いたり、発音が難しかったりすることがありますが、オールオン4はそのような不便を解消します。
骨移植の必要が少ない
オールオン4は、奥側のインプラントを斜めに埋入することで、残っている顎の骨を最大限に活用する技術です。これにより、骨が少ない患者でも骨移植を行わずにインプラントが可能になるケースが多く、治療期間や費用の削減につながります。
より自然な見た目と機能
オールオン4は人工の歯茎の上に上部構造を固定するため、見た目や機能が非常に自然です。総入れ歯では感じにくかった「自分で噛む感覚」を再現でき、日常生活における快適さが大幅に向上します。また、審美的にも優れており、自然な笑顔を取り戻すことができます。
長期的な安定性と快適さ
オールオン4は、総入れ歯と比べて安定していて、ずれる心配がありません。そのため、食事中や会話中の不快感を感じることがなく、長期間にわたって快適に使用できます。また、定期的にメンテナンスを行うことで、かなり長い期間にわたって機能させることが可能です。
精神的な安心感
総入れ歯は取り外し可能であるため、外出先でのケアや衛生管理に不安を感じることが少なくありません。一方、オールオン4は固定式で取り外しの必要がないため、普段通りの歯磨きが出来ます。そのため、日常生活におけるストレスが軽減され、生活の質が向上します。
これらの理由から、オールオン4は総入れ歯が合わなくて悩んでいる方にとって最適な治療法といえます。特に、快適さや自然な見た目、長期的な安定性を重視する方にとっては、大きなメリットがあります。
入れ歯のデメリット、骨が痩せる??

入れ歯は歯ぐきに乗せるだけのため、使わなくなった顎の骨が徐々に痩せてしまいます。高齢になると新陳代謝が低下し、インプラントと骨の結合にも時間がかかりやすくなります。
また、高齢者の多くは歯周病を抱えているため、インプラント治療の前にその治療が必要です。定期的なクリーニングや歯みがき指導、自宅でのセルフケアを徹底しましょう。
さらに、糖尿病や喫煙習慣がある方はインプラントが骨と結合しにくい場合もあるため、まずは医院でご相談ください。
【動画】All on 4 4倍理解出来るかも
All-on-4についての解説動画です。ホワイトボードに書きながら詳しく解説します。
手術したその日に歯が入る即時荷重インプラント

即時荷重インプラントは、手術したその日に仮歯が入る治療法です(オールオン4もこの方法を用います)。
通常、インプラントは顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、骨としっかり結合するまで3~6か月かかりますが、即時荷重インプラントでは、事前のCT分析などで条件が合えば、1日の手術で人工歯根と仮歯まで一度に装着できます。仮歯は1~3か月後に本番の上部構造と交換します。

オールオン4の治療例
入れ歯で噛めなかった方がオールオン4の治療を受けられ、お食事ができるようになった治療例です。治療例画像の下のリンクからご覧ください。

執筆者の経験から見た「即時荷重インプラント」治療の実際
私がオールオン4などの即時荷重インプラント治療に携わる中で、患者さんが最も驚かれるのは「手術当日に仮歯まで入る」スピード感です。多くの方が「入れ歯と比べて見た目も噛み心地も格段に違う」と手ごたえを感じてくださいます。
事前診査の大切さ
即時荷重インプラントが安全に実現できるかどうかは事前の診査・診断が重要です。私の経験上、CTデータで骨の幅や密度まで細かくチェックして、骨質や噛み合わせ、全身状態まで総合的に判断することで、術後の安定性やトラブルの回避が大きく左右されます。こうした診断をしっかり行った患者さんほど、スムーズな治療の成功体験が多いです。
術後のケア・メンテナンスの大切さ
また、手術の翌日から噛めるという安心感ゆえに、つい無理をしてしまう方も少なくありません。私がお伝えしているのは、「仮歯の間は柔らかい物中心の食事を心がけ、無理せず口腔ケアを徹底する」ことの大切さです。経過観察やクリーニングを怠らず、患者さんと一緒に小さな変化も見逃さないように取り組むことで、長期的な成功率が上がることを実感しています。
まとめ

いかがでしたか。総入れ歯と違い、食事に不自由しないオールオン4や、即時荷重インプラントは大変魅力的だと思われます。「自分はどんな方法で治療が可能?」などのご質問がある場合、無料カウンセリングなどでお気軽にご相談くださいね。