
オールオン4を使用しているうちに、口臭が気になるというお悩みを訴えられるケースがあります。オールオン4は、歯を失った方にとって画期的なインプラント治療法ですが、オールオン4後に口臭が起きる原因とその対策について詳しく説明します。
オールオン4の基本的な知識

通常のインプラント治療は、1つのインプラントに対して人工歯1本です。そのため、複数の歯を欠損された方には心身ともに負担がかかる治療でした。オールオン4とは、4~6本のインプラントを顎骨(がっこつ)に埋入し、そのインプラントで上顎または下顎の12本分の歯をつくる治療法です。
オールオン4の特徴
- 4本のインプラントで12本の歯をつくることができる
- 入れ歯やブリッジと比べて安定性が高いため、しっかり噛めて見た目も自然
- 手術の日に仮歯を入れられる
オールオン4のメリット・デメリットを簡単に
機能性や審美性が高く、短期間で固定式の歯を手に入れられるという大きなメリットがあります。保険適用外の自由診療に該当するので費用がかかり、ケアを怠るとトラブルが生じるデメリットがあります。
オールオン4で口臭が起きる原因
オールオン4の治療後に口臭が発生するということは、口内環境が悪化している状態と考えられます。口内環境が悪化している主な原因は以下の通りです。
- 食べ物の残りやプラークなど磨き残しがある
- 口腔内が乾燥している
- 舌苔(ぜったい)がある
- インプラント周囲炎になった
- 歯周病になりかけている
- 全身疾患にかかっている
食べ物の残りやプラークなど磨き残しがある
食後の歯磨きが出来なかったり不十分であると、食べかすが歯間に詰まります。食べかすが除去できなければ時間とともに腐敗臭が発生します。また、お口の中の細菌が食べ物の糖分を取り込み、更に繁殖して歯垢や歯石を作り出します。
天然歯がある場合虫歯になっている
天然歯が残っている場合は、虫歯の進行が考えられます。神経まで虫歯が進行していると、膿が発生し、口臭が強くなることがあります。
口腔内が乾燥している
口腔内の乾燥はすなわち唾液量の減少を指します。唾液は細菌の繁殖を抑える作用があるため、唾液が減少すると口臭が強くなる傾向にあります。年齢を重ねるにつれ唾液の分泌量は減ってしまいますので注意が必要です。
舌苔がある
舌苔という舌の表面に溜まる汚れには細菌も含まれています。皮膚に垢が溜まるのと同じような状態が舌苔です。
インプラント周囲炎になった
インプラントの周囲の歯肉が細菌感染をすると、歯周病のような状態になります。口臭だけではなく、インプラントがぐらぐら(動揺)したり、重症化するとインプラントの脱落を招くリスクがあります。
歯周病になりかけている
20代後半からも歯周病にかかる率は30%を超えており、歯茎の腫れや出血が見られます。40代後半になると、虫歯(う蝕)よりも歯周病で歯を失うことが多いです。重度になると膿が出てしまい、口臭と気にされる方もおられます。
全身疾患にかかっている
糖尿病や肝硬変などの全身疾患には、その症状として口臭が出る場合があります。
口臭を防ぐ方法
オールオン4後に口臭を予防するためには、下記の対策が効果的です。
正しい方法で歯磨きを行う
毎食後に歯磨きを行います。歯茎と義歯の境目を痛めないよう柔らかいブラシを使い、優しく時間をかけて磨きましょう。強い力で磨いてしまうと上部構造の歯茎の部分に傷がつき、傷の部分に細菌が繁殖してしまう可能性があるからです。研磨剤やフッ素が配合されていない歯磨き剤を使用し、就寝前には丁寧な歯磨きを心掛け、歯の細部にまで気を配ったオーラルケアを心掛けましょう。
舌苔を除去する
舌苔は舌専用の舌ブラシを使用して一日一回という回数を守りましょう。舌ブラシを使用した後は必ずぶくぶくうがいとガラガラうがいをして汚れを外へ出しましょう。
定期的に歯科健診を受診する
オールオン4を長く快適に使用するために定期的に歯科医院を訪れ、インプラントのチェックとクリーニングを受けましょう。定期メンテナンスの際に、インプラントの状態を含めた口腔環境をチェックしてもらうことは大切です。患者さん自身では除去できない歯石などを歯科医院で綺麗に除去してもらうと、インプラント周囲炎や歯周病の予防が出来ます。定期的にチェックとクリーニングを受けることで問題が起こった時に迅速な対処が可能で、口臭の発生を防ぐことができます。
口腔内の乾燥を予防する
お口の中の保湿のために唾液腺マッサージを行ってみましょう。耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)など三ヶ所に唾液腺があるため、その部分を指で軽くマッサージすると唾液が分泌され、お口の中がうるおいます。また、こまめに水分補給を行うのもお口の乾燥予防には効果的です。
インプラントの一部が緩んでしまった
アバットメントが緩んでいるとインプラントの歯がぐらつくという自覚症状があります。インプラントが不安定だと感じたら、定期検診の際に歯科医師やスタッフへ相談しましょう。
全身疾患にかかっている
全身疾患が口臭の原因になることもあります。全身疾患にかかっている場合は、専門の病院へ通院し、口臭など自覚症状を伝えましょう。きちんと治療を続けると、口臭が消える場合があります。
【動画】All-on-4の不安を解消
All-on-4について、よくある質問や不安の声を5つ厳選して、クローバー歯科あべの天王寺院院長の永井伸人Dr.が解説しました。
まとめ
オールオン4の治療後に口臭でお悩みの方は、適切なケアとメンテナンスを行うことで、そのリスクを大幅に減らすことができます。食べ物のカスや歯垢の除去、定期的な歯科健診を欠かさずに行うことで、健康で快適な状態を維持しましょう。