インプラント

インプラント治療後のメンテナンスは必須ですか?

インプラント治療後はメンテナンスが必須

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラント治療後の患者さんは、しっかり噛めるようになって安心されたと思いますが、クリニックでかぶせ物を装着したところで治療終了と、油断してはいけません。毎日の歯みがき等のホームケアを丁寧に行って、歯医者でのメンテナンスも必ず受けていただきたいと思います。

インプラントにメンテナンスが必要な理由とは?

インプラントにメンテナンスは必要?

インプラントを長もちさせるためには、インプラント周囲の歯ぐきの状態を良い状態にしておかねばなりません。天然の歯ももちろんそうなのですが、特にインプラントは歯肉が炎症を起こしたりしないように気をつけなければいけません。

インプラント周囲炎は歯周病と同じで、インプラントの周囲の歯茎の炎症から始まり、やがてインプラントを支える歯槽骨を破壊していきます。そうなるとせっかく埋入したインプラントが抜けてしまいます。

インプラント周囲炎

インプラント治療を行った患者さんは、徹底したプラークコントロールと定期的なメンテナンスが必須になります。歯周組織が炎症を起こさないように、歯科衛生士によるクリーニングを定期的に受けていただくのがベストです。

インプラントのクリーニングは天然の歯に対するものと同じで、歯科衛生士が専用の器具を使って1本1本ていねいに磨いていきます。ご自身ではケアしにくい歯と歯の間や、歯と歯ぐきの間もきれいにします。歯石が出来ていたらこの時に取り去ります。

インプラントにも歯垢や歯石はつきますので、油断して放置しないよう、歯科医院でのメンテナンスは必ずお受け下さい。ご自身での歯みがきはむし歯や歯周病予防のために、義務として渋々なさっておられる方もおられるかもしれませんが、歯科衛生士によるクリーニングはとても気持ちのいいもので、歯面もツルツルになりますから、ご安心くださいね。

インプラント治療後はメンテナンスが必要っていうデータは?

どうしてこれ程インプラント周囲の歯茎のケアに気をつけなければならないのでしょうか。

ここで、歯周病の患者さんに対して行った研究結果についてお話ししたいと思います。

1970~1980年に、歯周病の患者さんでメンテナンスのケアを行った人のグループと、行わなかった人のグループを比較する研究が行われました。その結果、メンテナンスを行わずに歯にプラークが付着したままにしておくと、複数の部位に歯周病がみられ、しかも以前よりも悪化してしまったのです。

定期的にクリーニングを行っていたグループでは、何年にもわたってお口の中の状態は安定しており、炎症がひどくなるようなことはありませんでした。

また、これは日本で行われた研究ですが、インプラント治療後に、天然の歯とインプラント周囲の歯周ポケットに存在している菌種を観察したところ、インプラントの方がより多くの種類の菌が存在することがわかっています。

歯のケアは、口の中の細菌を減らして清潔な状態にすることに尽きます。天然歯よりもインプラントの方が菌が検出されやすいという実験結果も報告されていますので、インプラントを長持ちさせるには、毎食後の歯みがきやうがいなどのセルフケアをしっかりを行う必要があります。毎日のケアの積み重ねが、歯肉炎や歯周病を防ぎ、インプラントだけでなく天然歯を長くもたせることにもつながります。

そして、3~4か月に一度くらいのペースで定期健診に来院していただき、歯科衛生士によるクリーニングを受けていただくことで、メンテナンスはより完璧になります。クリーニングのご予約はお電話にてお受けしておりますので、お気軽におかけください。

インプラントしたらアフターケアが必須

インプラント周囲炎を予防するには

インプラントの手術後は必ず定期検診に来て頂くようにお話ししています。当院の場合、定期検診に来て頂けないとインプラントの保証が受けられないことも関係しておりますが、今後も歯の状態をよく保つためにはインプラント治療を受けられた方も、そうでない方も、定期検診が必要不可欠です。



定期検診では歯に異常がなければ歯科衛生士が歯のクリーニングを行います。クリーニングは健康な歯が虫歯や歯周病にならないように、また歯周病になってしまっている方はこれ以上悪化させないように、歯垢や歯石を除去して口腔内の細菌の数を減らすためのものです。

インプラントは虫歯や歯周病にはならないのですが、歯茎がインプラント周囲炎という炎症を起こす場合がありますので、インプラントの周りの歯周ポケットの深さを測ったり、出血がないか調べたりして、歯周炎の症状がないかどうかを調べます。



歯は良く溝や根の分岐があって複雑な形をしています。歯ぐきが健康な場合は通常のブラッシングで十分に汚れが落ちてきれいになりますが、歯周病が進むと根の部分が歯ぐきの上に顔を出しますので、根の形に合わせたブラッシングは大変難しくなります。

インプラントのメンテナンスに関するQ&A

インプラントのメンテナンスを怠るとどうなりますか?

インプラントのメンテナンスを怠ると、周囲炎(歯周病)や感染のリスクが高まり、インプラントの寿命が短くなる可能性があります。

インプラントのメンテナンスにおいて自宅でのケアはどのように行うべきですか?

自宅でのケアでは、歯磨きや歯間クリーニングを丁寧に行うことが重要です。歯科医院の指示に従い、適切なブラシやフロスを使用してインプラント周囲を清潔に保つようにしましょう。

インプラントの周囲炎(歯周病)にかかった場合の影響は何ですか?

インプラントの周囲炎(歯周病)は、感染や炎症を引き起こし、インプラントが安定しなくなってグラグラになったり、周囲の組織が損傷する可能性があります。

まとめ

今回は、メンテナンスの重要性についてお伝えしました。 虫歯や歯周病、インプラント周囲炎を決して起こさないためにも、定期検診には必ずお越し頂きたいです。歯のクリーニングは大変気持ち良く、患者さんに苦痛を強いるものでは全くありませんので、どうぞリラックスしてチェアにお座り下さいね。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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