オールオン4

全部の歯をインプラントにする場合どんな治療方法になりますか

全部の歯をインプラントにする場合どんな治療方法になりますか

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントは健康な方の場合、全部の歯を失った場合でも可能です。全ての歯をインプラントにする場合の、インプラントオーバーデンチャー、オールオン4(オールオンフォー)という2つの方法は総入れ歯のお悩みを解決するために有効ですのでご説明します。

全部の歯をインプラントにする方法は?

全部の歯をインプラントにする場合は、1本~数本の部分的なインプラント治療の時と同じようにインプラントの埋入は行いますが、全ての歯に1本ずつのインプラントが必要なわけではありません。

その点では、全ての歯を失った方が全顎のインプラント治療をする場合の方法は、部分的にインプラントをする場合とはかなり違うといえます。

総入れ歯からインプラントへ

全顎のインプラントの治療方法はインプラントオーバーデンチャーやオールオン4があります。それらについて以下でご説明します。

すべての歯をインプラントにする方法

  • インプラントオーバーデンチャー
  • オールオン4

インプラントオーバーデンチャー

磁石式義歯

インプラントオーバーデンチャーとはインプラントと総入れ歯を組み合わせた治療です。総入れ歯が動かないようにインプラントの頭の部分についた磁石の力を利用します。必要なインプラントの本数は2~4本程度で、磁石やボタンなどで総入れ歯を固定します。

インプラントオーバーデンチャーの総入れ歯は患者さんご自身の手でいつでも取り外して洗うことが出来ます。その後の装着も簡単にご自身で行えます。普通の総入れ歯と比べると噛む力は強くなり、上顎を覆う床の部分がないため、異物感が少ないことも特徴です。

また、インプラントを使用して安定させてはいますが、基本的には取り外し式の総入れ歯とお考えいただき、毎日取り外して清掃を行うことが必要になります。

インプラントオーバーデンチャーはインプラントを埋め込む本数が2~4本と少ないため、身体への負担が小さく、保険が適用されない自費診療ではあるものの、費用も抑えることが出来ます。

オールオン4

オールオンフォー

オールオン4(オールオンフォー)は、インプラントと総入れ歯を合わせたような治療です。4~6本のインプラントで顎骨に埋入することで、プラスチック製の床に10~12本の歯を並べた上部構造を固定し、支えることが可能です。

少ないインプラントで固定できる秘訣は、長めのインプラントを斜めに傾斜させて骨の多い部分に埋入出来ることにあります。

総入れ歯は床をお口の粘膜に吸着させますが、オールオン4はインプラントで固定させますので、床の部分が最小限の面積で済み、総入れ歯と比べると違和感が少なく、良く噛めるようになります。

オールオン4は4~6本という少ない本数のインプラントで多くの歯を作ることが出来る上、手術当日に仮歯が入りますので見た目を気にする必要がなく、そして強くは噛めませんが、手術当日から食事が可能になることもオールオン4の大きな特徴です。

インプラントオーバーデンチャーとの違いは、オーバーデンチャーは患者さん自身で取り外し可能で、外した入れ歯を毎日洗浄する必要がありますが、オールオン4は固定式で自分では取り外しが出来ず、天然の歯と同じように歯みがきをして清掃するという点です。

動画:オールオンフォー(all-on-4)について

インプラント市民公開講座より抜粋。オールオンフォーについての解説。

インプラントブリッジ

既に何本かインプラントを埋入しておられる患者さんには、それ以外の欠損部分に部分的なインプラントを埋入することで歯を補うという方法もあります。

この場合、埋入しているインプラントの本数が多いために上部構造の安定が良くなり噛みやすくます。インプラントを埋入する部分の骨が足りない場合は、骨造成の処置が必要になり、通常のインプラントの治療期間に骨が出来るまでの期間が追加され、治療が完了するまでにはやや長めの期間がかかります。

インプラントオーバーデンチャーとオールオン4の比較

インプラントオーバーデンチャーとオールオン4の特徴を比べてみましょう。

インプラントオーバーデンチャーとオールオン4の比較

全部の歯をインプラントにする治療はどんな人に必要?

シニア

全部の歯をインプラントにする背景として考えられるのは、事故や虫歯や歯周病などが原因で全ての歯を失ってしまったということです。または、既に総入れ歯をお使いで、総入れ歯がどうしても合わないないためにインプラント治療を考えておられるのかもしれません。

全ての歯を失う過程としては、虫歯は再治療を繰り返す程、抜歯に至る確率が上がりますし、歯周病は重度になると歯槽骨が溶けて歯が抜けてしまい短期間に連続して歯を失うケースもあります。

歯を失う度にブリッジや入れ歯やインプラントで治療を行うわけですが、ブリッジの場合は一度にブリッジに出来る本数に制限がありますし、入れ歯は歯を失う度に複数の歯をカバーするためにどんどん大きくなります。

総入れ歯をお使いの方で、より快適に噛めることを目標にして治療を行う際には、治療の選択肢としてインプラントが候補にあがります。

インプラントの基本的な構造について

インプラントと天然歯の違い

インプラント治療とは失った歯を補うための治療です。顎の骨にネジのような形をしたインプラント体(人工歯根)を埋め込み、数か月してインプラント体が骨と結合したのを確認したら、その上にセラミックなどの人工歯を取り付けます。

インプラント体はチタン製で、骨と結合する性質をもっていますので、しっかりと噛める頑丈な人工の歯を作ることが出来ます。また、インプラント体のネジの部分に形状や表面のコーティングは、各インプラントメーカーが独自に技術開発して治療の安全性の向上に貢献しています。

 

全部の歯をインプラントにする場合の治療方法に関するQ&A

全部の歯をインプラントにする治療はどんな人に必要ですか?

インプラント治療は、事故や虫歯、歯周病などの原因で全ての歯を失った方や既に総入れ歯を使用していて合わないためにインプラント治療を考えている方に必要です。

全部の歯をインプラントにする場合、どのような治療方法がありますか?

全部の歯をインプラントにする方法として、インプラントオーバーデンチャーやオールオン4があります。

まとめ

多くの歯を失った方のための治療法として、インプラントオーバーデンチャーとオールオン4をご紹介しました。この2つの大きな違いは取り外し式か固定式かということです。

自分で取り外しが出来るオーバーデンチャーは総入れ歯を磁石やボタンで安定させるため、今まで総入れ歯をお使いの方であれば馴染みやすいかもしれません。一方オールオン4は固定式で自分では外せませんので、入れ歯のお手入れが億劫な方にお勧めです。

どちらもインプラントを埋入するため、インプラント周囲炎の予防としてのメンテナンスは必ず受けるようにしましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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