インプラント

インプラントを行ったら耳鳴りがするのはなぜ?

インプラントを行ったら耳鳴りがするのはなぜ?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラント後に耳鳴りの症状が起きてしまった場合、何が原因で起こっているのでしょうか。今日は、歯科治療のインプラントをして、なぜ耳鳴りが起きてしまうのかについてご説明します。

インプラント後に耳鳴りが起きる原因とは

では、インプラントをした後、耳鳴りの症状に悩まされるのはなぜでしょうか。インプラントの手術後に耳鳴りが起きると思われる原因をご説明します。

1. 顎関節と耳の関係

顎関節の影響

インプラント手術後に耳鳴りが発生する理由の一つに、顎関節(顎関節症)との関連が考えられます。顎関節は耳のすぐ近くに位置しており、噛み合わせや顎の動きが変わることで耳周辺に負担がかかり、耳鳴りを引き起こす可能性があります。特に、噛み合わせが調整されていない場合、顎に負担がかかり、耳の奥に圧迫感や耳鳴りを感じることがあります。

2. 神経の影響

三叉神経への刺激

三叉神経は顔面や顎の感覚を司る神経で、耳にも近い位置を通っています。インプラント手術中に神経が圧迫されたり、過度の刺激を受けたりすることで、耳鳴りが発生することがあります。特に、上顎のインプラント手術では、上顎に存在する神経の刺激が耳鳴りを引き起こす要因となることがあります。

中耳の神経との関連

中耳には、聴覚に関与する神経があり、インプラント手術が原因でこれらの神経に刺激が伝わることで、耳鳴りが発生することも考えられます。

3. ストレスや緊張による耳鳴り

心理的要因

手術後に感じるストレスや緊張が、耳鳴りの一因となることがあります。インプラント手術は体に負担をかけるだけでなく、精神的にも影響を与えることがあります。ストレスが高まると、耳鳴りが悪化する場合があるため、リラックスすることが重要です。術後にリラックスできる環境を整えたり、ストレス軽減のためのリラクゼーション方法を取り入れることで、耳鳴りを軽減する可能性があります。

4. 噛み合わせの不調

噛み合わせのずれ

インプラント治療後に噛み合わせが微妙にずれることで、耳鳴りが引き起こされることがあります。噛み合わせの不調が続くと、顎関節に負担がかかり、結果的に耳周辺の筋肉や神経に影響を与えて耳鳴りが生じます。この場合、噛み合わせの調整が有効な治療法となります。

5. 血流の変化

血圧や血流の影響

インプラント手術後に血圧や血流が変化し、耳鳴りを引き起こすことがあります。特に手術後の炎症や腫れにより、耳周辺の血流が悪くなることがあり、それが耳鳴りの原因となる可能性があります。血流が改善されれば耳鳴りが収まる場合もあります。

6. 耳鳴りが続く場合の対処

歯科医への相談

インプラント手術後に耳鳴りが続く場合や、症状が悪化する場合は、早めに歯科医に相談することが重要です。耳鳴りは一時的なものかもしれませんが、治療や調整が必要なケースもあるため、専門的な評価を受けることが推奨されます。

耳鼻科医との連携

耳鳴りが長期にわたる場合、耳鼻科医との連携も必要になることがあります。歯科的な要因と耳鼻科的な要因の両方を確認することで、原因を特定し、適切な対策を講じることができます。

インプラント後の耳鳴りへの対処は?

インプラント治療を行った後に耳鳴りが続く場合は、どうすれば良いのか、主な対処の方法は以下の通りです。

1. 歯科医への相談

早期の受診

耳鳴りが術後に発生した場合、まずは担当の歯科医に相談することが最優先です。インプラントの噛み合わせが影響している場合や、顎関節の負担が原因となっていることもあります。歯科医による噛み合わせの調整や、インプラント位置を確認してもらいましょう。

2. 耳鼻科医への受診

専門医の診断を受ける

耳鳴りが長引く、または悪化する場合、耳鼻科医を受診することも必要です。耳鳴りは歯科治療以外の要因、例えば中耳や内耳の問題が関与している場合もあるため、耳鼻科医での診断によって耳に問題があるかどうかを明確にすることが大切です。場合によっては聴覚検査を行い、耳鳴りの詳細を確認します。

3. ストレスの軽減

リラクゼーション法の導入

ストレスや緊張が耳鳴りに繋がる場合もあるため、リラクゼーション法を試すことが推奨されます。深呼吸、瞑想、マッサージなど、心身のリラックスを促す方法は耳鳴りを軽減する効果が期待されます。また、十分な睡眠を取ることで身体の回復を促すことも重要です。

4. 噛み合わせの調整

噛み合わせの点検

インプラント治療後、噛み合わせに違和感がある場合は、耳鳴りの原因となることがあります。特に顎関節や周辺の筋肉に負担がかかっている場合、噛み合わせを調整することで症状が改善することがあります。歯科医に相談し、噛み合わせのバランスを確認してもらうことが有効です。

5. 痛みや腫れの管理

鎮痛剤や抗炎症薬の使用

手術後の炎症や痛みが耳鳴りに関連している場合、歯科医から処方された鎮痛剤や抗炎症薬を適切に使用することで、耳鳴りを軽減できることがあります。炎症が治まれば、耳鳴りが軽減されることがあります。

6. 体調の改善

血流の促進

血流の悪化が耳鳴りの原因となっている場合、軽い運動やストレッチ、適切な栄養補給によって血流を改善することが有効です。特に、術後の体調管理に気を配り、無理をせずに体を回復させることが耳鳴りの軽減に繋がることがあります。

インプラントとは

インプラントの構造

 インプラント治療は、入れ歯やブリッジと同じく歯を失った方のための治療方法です。虫歯や歯周病、もしくは外傷や事故などで歯を失った方が、咀嚼機能の改善を図るためにインプラントを入れます。インプラントは、三つの部品により成り立っています。

インプラント体(人工歯根・フィクスチャー)

顎の骨に埋め込む部分をインプラント体という。インプラント体は生体親和性の高い純チタン・チタン合金の材料で作製されることが多く、骨と結合する性質をもっている。

アバットメント(連結部分)

アバットメントはインプラント体と上部構造を接続する役割で、メタル・セラミックなどの材料で作製されることが多い。

上部構造(被せ物)

上部構造は歯茎の上に見える歯の部分となるため、審美性を求めて、オールセラミック・ジルコニアセラミック・ハイブリッドセラミックの材料で作製されることが多い。

参照先:NHS

インプラント治療後の耳鳴りに関するQ&A

インプラント後に起こる耳鳴りの原因は何ですか?

インプラント後に耳鳴りが起こる原因として、インプラントの位置の誤りや噛み合わせの問題が考えられます。

インプラントに金属アレルギーがある場合、どう対処すれば良いですか?

金属アレルギーがある場合、インプラントを撤去するか材質を変更する対処法があります。

インプラント治療後に再手術が必要な場合、すぐに行えますか?

インプラント治療後の再手術はすぐに行えるわけではなく、骨の再生を促進するために時間と増骨材が必要です。

まとめ

インプラントの直後は、麻酔が切れた後の痛みや腫れがありますが、その症状が引いてきたころに、耳鳴りやめまい、頭痛や肩こりの回数が多いなと気になる場合は、早めに歯医者さんへご相談ください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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