オールオン4は4本~6本のインプラントで一度に多くの歯を補うことの出来るインプラント治療です。しかし治療後はしっかりとメンテナンスを行わなくては、長く使い続けることが難しいため、オールオン4の寿命に影響を与える様々な要因についてご説明します。
オールオン4とは
総入れ歯には「うまく噛めない」「違和感がある」「うまく喋れない」など、様々なトラブルがつきものです。総入れ歯でお困りの方に、僅か4~6本のインプラントで10~12本の歯を作る方法をご紹介します。
オールオン4は4~6本のインプラントで上または下の10~12本の歯を作ります。オールオン4の上部構造は1体型で全ての歯が繋がっており、即時荷重インプラントという技術を使い、インプラントの埋め込み、仮歯の装着までを1日で行うことが出来ます。
手術当日に仮歯の装着まで出来ますので、その日からお食事ができます。ただし、インプラントを埋め込んだ部分の歯茎は怪我をした状態になっていますので、やわらかめのものをお召し上がりください。
顎の骨の状態が良い場合はインプラント4本で歯を作りますが、日本人は6本必要になる場合が多いです。また、総入れ歯程の強い違和感はなく、違和感の少ない状態になります。
オールオン4では、左右の2本のインプラントを斜めに埋入するのが特徴です。斜めに埋入することで、神経や血管を避けることが出来ます。
オールオン4の寿命を短くする要因は?
オールオン4を長持ちさせるために注意すべき点は、一般的なインプラントを長持ちさせるための注意点がそのまま当てはまります。
- 自宅でのセルフケア(歯磨き)の不足
- 定期健診を受けていない
- 喫煙
- 糖尿病などの生活習慣病
- 噛み合わせの悪さ
インプラントを長もちさせるには?
さて、いよいよインプラントを長もちさせるためのポイントをご説明します。オールオン4の長もちのためには、正しいケアと定期健診、そして喫煙や生活習慣病に気を配る必要があります。詳しくは以下のような事柄です。
1.インプラントの寿命に影響を与える要因
インプラントの寿命はお口の中の衛生状態を良くする、定期的なメンテナンスを受ける、噛み合わせの調整をする、生活習慣や基礎疾患の管理などに影響を受けます。これらを一つ一つ徹底することで、インプラントの寿命を延ばすことができます。
2.口内衛生を良くする
インプラント周囲の歯茎や上部構造のクリーニングは重要です。適切な歯磨きやフロス、タフトブラシ、洗口液の使用方法を実践することで、インプラント周囲の細菌の繁殖を防ぎ、寿命を延ばすことができます。
3.定期的なメンテナンスの必要性
定期健診や歯科衛生士による歯のクリーニングは、インプラントの状態を確認し、何か問題が発生している時に速やかに発見するために不可欠です。定期健診の際にインプラント周囲の炎症が起こっていないかを専門家が判断し、クリーニングによって感染を予防することで、インプラントの寿命を延ばすことができます。
4.噛み合わせの調整
正しい噛み合わせを維持することはインプラントの寿命に直接影響を与えます。噛み合わせが狂っている際には速やかに必要な処置を行う必要があります。噛み合わせの調整を行うことで、インプラントへの負担を軽減し、寿命を延ばすことができます。
5.生活習慣と基礎疾患の影響
喫煙の習慣や糖尿病などの生活習慣病は、インプラントの寿命に悪影響を与える可能性があります。禁煙や糖尿病のしっかりとした管理を行うことが、インプラントの寿命を延ばすことに繋がります。
6.特殊なケースへの対応
骨粗しょう症などの基礎疾患を持っておられる方は、インプラントのケアに特別に注意する必要があります。検査結果を適度な数値にコントロールすることがインプラントの寿命を延ばすことに繋がります。
7.寿命延長のための新しい技術や研究
インプラント技術は日々進化し、インプラントの寿命延長に効果が見込める新しい治療法や材料の研究が進んでいます。最新の術や研究に関心を持ち、それらを積極的に取り入れることも、インプラントの寿命を延ばすことに繋がります。
7.基礎疾患として注意が必要なもの
- 高血圧症
- 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)
- 呼吸器疾患(気管支喘息、COPD等)
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 消化器障害(胃・十二指腸潰瘍等)
- 血液疾患(貧血・血小板異常等)
- 糖尿病
- 免疫疾患(金属アレルギー等)
- 骨粗しょう症
インプラントの大敵はインプラント周囲炎
インプラント周囲炎にかからないように、しっかりとメンテナンスできるかどうかが、インプラントを長くもたせるための鍵となります。
インプラント周囲炎にかかると、インプラントの周囲の歯茎や骨に細菌による炎症が起こって歯周病と同じような症状が出ます。歯茎の腫れから始まって、歯周組織が次第に壊されていき、歯槽骨へ症状が広がっていくと、インプラントがグラグラになり、最終的には骨から抜けてしまいます。
天然歯には歯根膜がありますが、インプラントには歯根膜がありません。そのためインプラントの周囲は細菌感染に弱く、骨の吸収が起こりやすくなります。
オールオン4は歯磨きしにくい?
オールオン4は上部構造の歯が全て繋がって1体となっているものをインプラントの上に被せます。そのため、上部構造の下の歯茎をセルフケアで触ることは出来ません。しかし上部構造とインプラントの間の隙間には歯垢が溜まりやすいため、数か月に一度の定期健診でメンテナンスをしてもらいましょう。
セルフケアで出来るのは、上部構造を丁寧に歯磨きすることと、上部構造とインプラントの間をタフトブラシ、マウスウォッシュ(洗口液)で洗うことです。お口の中を清潔にすることで、口腔内の細菌を減らすことが出来ます。
オールオン4の寿命に関するQ&A
インプラント周囲炎を予防するためには、適切なメンテナンスを行うことが重要です。定期的な健診や歯磨き、タフトブラシやマウスウォッシュの使用が推奨されます。
オールオン4の寿命を短くする要因として、自宅でのセルフケア不足、定期健診の不受診、喫煙、糖尿病や噛み合わせの悪さが挙げられます。
インプラントの長持ちのためには、正しいケアと定期健診、喫煙や生活習慣病に気を配る必要があります。
まとめ
オールオン4を長もちさせるためには、毎日の歯みがき等のセルフケアに加えて、数ヶ月毎に歯科医院でのメンテナンス(定期健診)を受けることが大切です。また、喫煙の習慣や、糖尿病などの生活習慣病もインプラントに悪い影響を与えますので、注意が必要です。
オールオン4の寿命を延ばす方法についての研究は以下の2つの論文で詳述されています。
1. 『All on Four』治療のデジタルスマイルデザインとコンピューター支援手術と伝統的なワークフローの比較 このランダム化臨床試験では、オールオン4治療のデジタル化手法と伝統的な手法を4年間のフォローアップで比較しています。デジタルプロトコルでは、インプラントの正確な位置をバーチャルで計画し、フラップレス手術手法で高精度に実施できることが示されています。また、この手法は痛みを軽減し、患者の満足度を向上させることが確認されています。この研究は、オールオン4治療の成功率と寿命を向上させるためにデジタルプロトコルが有効であることを示唆しています。【Cattoni et al., 2021】
2. 『All-on-4』概念の更新 この記事では、オールオン4治療概念の17年間にわたる実践データを要約しており、合併症の発生と対処法、咬合とカンチレバーのトレンド、インプラントのサイズの利用などに焦点を当てています。また、患者の特性、インプラントおよび補綴物の失敗のリスク要因などを検討しています。この研究は、オールオン4の寿命を延ばすために、患者の選択やリスク管理が重要であることを示唆しています。【Chan & Nudell, 2021】
これらの研究から、オールオン4の寿命を延ばすためには、デジタル技術の活用や、リスク管理および患者の特性に応じた治療計画が効果的であることがわかります。また、患者の満足度や治療の予測可能性を高めることが、成功につながる重要な要素であることが示されています。