オールオン4

オールオン4のメリット・デメリットとは?

オールオン4のメリット・デメリットとは?

オールオン4は、失った歯の機能と見た目を取り戻すためのインプラント治療法です。この治療法は、多くの歯を失った方や総入れ歯を使用している方に適しています。

従来のインプラント治療とは異なり、わずか4本(~6本)のインプラントで上部構造を支えるため、治療期間や費用の面でも多くのメリットがあります。

オールオン4のメリットとデメリット、選ぶ際の注意点についてご説明します。

オールオン4とは?

オールオン4

オールオン4(オールオンフォー)とは、失った歯の見た目と機能を回復させるための歯科治療で、片顎あたり最少4本のインプラントで14本分の人工歯をつくることができます。

総入れ歯を使っている、または既に多くの歯を失っている方に推奨され、インプラントの埋入本数が少ないため、費用を抑えた形での治療が可能です。

骨の薄い方にも増骨なしで適用でき、機能性と審美性をかねそなえた治療であることから、入れ歯以外の方法として注目されています。

日本人の場合、欧米人に比べて顎の骨が小さく薄い傾向があるため、オールオン6(オールオンシックス)と呼ばれる方法で、インプラント6本で上部構造を支える場合もあります。

メリット

オールオン4
  1. 安定性が高く長持ちする
  2. 短期間での治療が可能
  3. 増骨、骨移植が回避できる
  4. 手術当日に仮歯が入る
  5. 見た目の自然さ

1. 安定性が高く長持ちする

オールオン4は、4~6本のインプラントによって上部構造を固定します。これにより、食事や会話が自然に行えるだけでなく、長期間にわたって安定した状態で機能させることができます。

特に、後方のインプラントを斜めに埋め込むことで、骨との接触面積を広げ、少ない本数でも強固な支えを確保できます。その結果、噛む力をしっかり支えられるため、耐久性が高く、長持ちしやすいのが特徴です。



また、一般的なインプラントと同様に、適切なメンテナンスを行えば10年以上、場合によっては20年以上の長期間使用できます。

2. 短期間での治療が可能

従来の全顎インプラント治療では、8本〜10本程度のインプラントを埋め込むため、治療期間が長くなりがちでした。しかし、オールオン4は4本のインプラントで済むため、手術の負担が少なく、治療期間が短縮されます。

さらに、即時負荷インプラント(手術当日に仮歯を装着する方法)に対応しているため、手術当日から食事や会話が可能です。このスピーディな治療は、忙しい方やできるだけ早く噛めるようになりたい方にとって大きなメリットになります。

3. 増骨、骨移植が回避できる

オールオン4は、骨が不足している場合でも適用できることが多いです。奥歯に近い方のインプラントは長めの人工歯根を斜めに配置するため、上部構造を安定した力で支えます。

通常、インプラント治療では顎の骨が不足している場合、骨を増やす処置(GBR、サイナスリフトなど)が必要になることがあります。しかし、オールオン4では後方のインプラントを斜めに埋め込むことで、骨が少ない部分を避けてしっかり固定できるため、骨移植を回避できる可能性が高いのです。

これは特に、長年歯を失ったままでいた方や、入れ歯を長く使用して顎の骨が痩せてしまった方にとって、大きなメリットと言えます。骨移植をしない分、治療期間が短くなり、手術の負担も軽減されます。

4. 手術当日に仮歯が入る

通常のインプラントでは、インプラントを埋め込んだ後、骨と結合するまでの3〜6ヶ月間は仮の入れ歯を使用することが一般的です。しかし、オールオン4では、手術当日に仮歯を装着できるため、「歯がない期間」がありません。

これにより、以下のようなメリットがあります。

  • 見た目の改善 → 手術当日から歯が入るため、歯がない状態になることがなく、見た目のストレスを感じずに済みます。
  • 食事や会話ができる → 固いものは避ける必要がありますが、手術当日からある程度の食事が可能です。
  • 日常生活に支障が少ない → 入れ歯のように取り外しが不要で、自然に会話や笑顔を楽しむことができます。

この「手術当日に仮歯が入る」という点は、患者さんのQOL(生活の質)を大きく向上させるポイントのひとつです。

5. 見た目の自然さ

オールオン4は、見た目が非常に自然で、本物の歯と見分けがつかないほどです。審美性の高い人工歯を使用できるため、非常に自然な仕上がりになります。特に、以下のような点が見た目の良さにつながります。

患者さんの顔立ちや口元に合わせたデザインが可能

オールオン4では、患者さんの口の形や笑顔のバランスに合わせて歯の形や色を調整できます。そのため、入れ歯のように「不自然に見える」という心配が少なくなります。

歯茎の部分も含めて再現可能

従来の部分的なインプラントと異なり、歯茎の形も含めて人工的にデザインできるため、より自然な見た目になります。これは特に、歯を失った期間が長く、歯茎の形が変わってしまった方にとってメリットになります。

入れ歯のような違和感がない

入れ歯は歯茎に乗せる構造のため、話したり笑ったりしたときにずれることがありますが、オールオン4はしっかり固定されているため、そのような心配がありません。

こうした特徴から、オールオン4は「見た目も自然で、美しい口元を再現できる治療法」として注目されています。

 

オールオン4のメリットを改めて整理すると、以下のようになります。

  1. 安定性が高く長持ちする → しっかり固定され、10年以上の耐久性
  2. 短期間での治療が可能 → 4本のインプラントで済み、手術当日から噛める
  3. 増骨、骨移植が回避できる → 斜め埋入により骨が少なくても治療可能
  4. 手術当日に仮歯が入る → 歯がない期間がなく、すぐに日常生活に戻れる
  5. 見た目の自然さ → 審美性が高く、入れ歯のような違和感がない

オールオン4は、短期間でしっかり噛めるようになり、自然な見た目も得られる治療法として、多くの患者さんに選ばれています。ただし、適応には個人差があるため、治療を検討される場合は専門の歯科医院でしっかり相談することが大切です。

デメリット

  1. 入れ歯と比べると費用が高い
  2. メンテナンスが重要である
  3. 適用条件に制限がある
  4. 手術のリスク

1. 入れ歯と比べると費用が高い

オールオン4は、従来の義歯や部分入れ歯と比べると治療費が高額になります。このため、経済的な負担が大きくなる可能性があります。

2. メンテナンスが重要である

メンテナンス

オールオン4は、定期的なメンテナンスが必須です。適切なケアを怠ると、インプラント周囲炎などのリスクが高まり、インプラントが長持ちしませんので、必ずメンテナンスを受けるようにしましょう。

3. 適用条件に制限がある

オールオン4は、全ての患者さんに適用できるわけではありません。特に、重度の骨密度低下や健康状態が良好でない患者さんの場合、手術が受けられないことがあります。

4. 手術のリスク

オールオン4は外科手術を伴うため、感染症や出血、神経損傷などのリスクが存在します。手術前にこれらのリスクについて十分な説明を受けることが重要です。

オールオン4と従来のインプラント治療の比較

比較項目 オールオン4 従来のインプラント治療
インプラントの本数 片顎あたり4本 オールオン6の場合は6本 失った歯の数に応じてインプラントの本数が異なる
治療期間 短期間(数ヶ月以内) 長期間(6ヶ月以上)
初期費用 高額だが、総入れ歯よりは低い 高額(インプラントの本数に比例して費用が増加)
適用条件 骨の薄い方や多くの歯を失った方に適用されることが多い 骨密度が十分で健康状態が良好な場合に適用

オールオン4を選ぶ際の注意点

オールオン4

医師の選択

オールオン4の成功は、医師の技術と経験に大きく依存します。信頼できる専門医を選ぶことが大切です。

治療前のカウンセリングの重要性

カウンセリング

手術前のカウンセリングは、患者さんの疑問や不安を解消するために重要です。費用が高額で外科手術を伴いますので、必ずカウンセリングで疑問点を質問して、解決しましょう。医師と十分にコミュニケーションを取り、納得した上で治療を受けることが大切です。

【動画】人前で入れ歯を外したくないのでAll-on-4 にした患者さんの例

All-on-4で治療したら世界が変わった患者さんのエピソードを紹介。

まとめ

オールオン4は、総入れ歯の方や多くの歯を失った方へのインプラント治療の方法です。少ない本数で上部構造を支えることができるため、機能性と審美性に優れた治療法です。

従来のインプラント治療と比べて短期間での治療が可能であり、骨移植が不要な場合が多いというメリットがあります。しかし、入れ歯と比較して費用が高いことや定期的なメンテナンスの必要性、適用条件の制限、手術のリスクなどのデメリットも存在します。

治療を検討する際は、信頼できる医師を選び、十分なカウンセリングを受けることが成功の鍵となります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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