インプラントの基礎知識

インプラントはやめたほうがいい?後悔しないために知っておくべきリスクと向いていないケース

インプラントをやめたほうがいいと言うのはなぜ?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントは「やめたほうがいい」と言われることがありますが、本当に危険なのでしょうか?

いいえ。正しい知識と準備をすれば、多くの方が安全に受けられます。

「手術が怖い」「高額で失敗が怖い」「骨が少ないから無理と言われた」

そんな不安から、インプラント治療を諦めてしまう方も少なくありません。しかし、リスクを理解し、信頼できる歯科医院を選べば、長く快適に噛める治療となる可能性があります。

この記事はこんな方に向いています

  • インプラントを勧められたが「本当にやって大丈夫?」と不安な方
  • 他院で「骨が足りない」と言われて悩んでいる方
  • 手術の安全性や費用面が心配な方
  • 後悔しない選択をしたい方

この記事を読むとわかること

  1. 「やめたほうがいい」と言われる具体的な理由
  2. インプラントが向いていない人の特徴
  3. 後悔しやすいパターンとその回避法
  4. 医師の技術で成功できるケース
  5. 信頼できる医院選びと相談のポイント

 

インプラントを「やめたほうがいい」と言われる理由は?

インプラントと天然歯

インプラントは人工歯根を骨に埋め込む外科手術を伴うため、全員に適応できるわけではありません。「やめたほうがいい」と言われる場合、多くは「全身状態」や「顎骨の状態」に原因があります。また、費用負担の大きさや治療後のメンテナンス継続も考慮すべき要素です。

体や骨の状態、費用、ケアの継続が難しい場合は慎重に判断しましょう。

7つの主な理由

1. 外科手術による全身疾患や持病のリスク

重度の心疾患、脳血管疾患、免疫抑制剤投与、抗がん剤治療中、糖尿病の場合、外科手術時の全身的リスクが大きいです。手術が必要な治療となるので、体調や精神的負担が大きく、持病がある方はかかりつけ医からの許可が必要です。持病の無い方よりも傷の治りが悪く、感染リスクが高くなることからやめたたほうがいいと言われることもあります。

2. 顎の骨が不足している

インプラントは顎の骨に埋め込むための外科手術です。顎骨には十分な骨の厚みと高さや骨質などが関わってきます。骨量が極端に少ないと、骨移植や再生療法が必要となり、インプラント治療前に行います。体の負担や骨を増やす期間、それに伴う費用が増えてしまいます。

3. 費用が高い

インプラントは、保険適用外の自費診療に該当します。治療費が1本あたり約30〜50万円が目安というほど高額な治療です。骨造成が必要な方ならば先述しましたがさらに費用がかかります。

4. 治療期間がかかる

ブリッジや入れ歯はインプラントと比べて早く治療が終了します。その点、顎の骨とインプラントが結合する状態(オッセオインテグレーション)を確認しなければならないインプラント治療は、どうしても治療期間が長くなります。頻繁に通院しなければならないというわけではありませんが、治療期間の長さは覚えておきましょう。

5. 必ずメンテナンスに通わなければいけないい

インプラント治療後は、定期的なメンテナンスが欠かせません。おおよそ3〜6ヵ月に1回のペースで通院することで、10年、20年と長くインプラントを使い続けることが可能になることがあります。しっかりとケアを続ければ長く使い続けることも夢ではありませんが、定期メンテナンスへ通えなければ、天然歯と同じような細菌感染を起こします。

6. 強く噛みすぎる人には不向き

インプラント治療と天然歯の大きな違いは、歯の周囲に歯根膜という組織があるかどうかです。天然歯の周囲には歯根膜が存在し、強く噛んだ場合に衝撃を和らげるクッションのような役割を果たします。歯ぎしりや噛みしめのある方がインプラントで強く噛んでしまうと、過剰な力がかかり、顎骨や破損に繋がるリスクがあります。ただし、術後のメンテナンスにきちんと通っていれば、噛み合わせを確認するため、そのようなリスクは減ります。

7. 喫煙習慣がある

喫煙をすると血管が収縮して血流を悪化させます。血流が悪化すると血中で運んでいる酸素や栄養が歯周組織に行き渡りません。そのためオッセオインテグレーションがうまくいかなくなることが多く、きちんと結合していなければ、その上につける人工歯もグラグラしてしまいます。また、インプラントの周りで細菌感染が起きるインプラント周囲炎になりやすいです。

これらの要因があると、「やめたほうがいい」と助言されることがあります。しかし、これは“絶対にできない”という意味ではなく、「慎重な対応が必要」という警告です。インプラントは外科的処置を伴う治療ですが、適切な検査と対策を行えば安全性を高めることができます。医師と十分に相談し、自身の体の状態に合わせた判断をすることが大切です。

インプラントに向いていないのはどんな人?

インプラントが「向いていない」とされるのは、全身疾患や口腔環境に問題があるケースです。特に骨粗しょう症や糖尿病、重度の歯周病、喫煙習慣などは治療成功率を下げる要因になります。

健康状態や口内環境が不安定な人は、インプラント治療にリスクが高まります。

向いていない人の具体的な例

状況 リスクの内容
骨粗しょう症 骨の密度が低く、インプラントが安定しにくい。薬の副作用で骨が壊死するリスクも。
糖尿病 傷の治りが遅く、感染リスクが高まる。血糖コントロールが重要。
重度の歯周病 細菌感染がインプラント周囲炎を起こし、早期脱落の原因に。
喫煙者 血流が悪化し、治癒や骨結合が遅れる。成功率が下がる。
放射線治療歴がある方 骨や粘膜の再生力が低下している場合があり、注意が必要。

これらの条件に当てはまる方でも、

  • 主治医と連携して全身管理を行う
  • 口腔環境を改善してから手術を行う

などの方法で、安全に治療できる場合があります。

「向いていない」と言われても、あきらめる必要はありません。リスクを把握し、医師が個別に対策を取れば、治療の選択肢が広がる可能性があります。

関連ページ:インプラントの向き・不向き

インプラントを後悔する人に共通する原因は?

インプラントを後悔する人は、「治療前の情報不足」や「医院選び」

後悔の多くは、準備不足とケア不足によるものです。

後悔につながる典型的なパターン

  1. 安さだけで医院を選んだ

    → 使う材料や技術の質が低く、長持ちしないケースも。
  2. 術後のケアを怠った

    → 定期健診に行かず、歯垢や歯石が原因でインプラント周囲炎に。
  3. 説明を十分に受けていない

    → 治療の流れやリスクを理解せず、結果に不満を感じる。
  4. 生活習慣を見直さなかった

    → 喫煙・歯磨き不足・食生活の乱れで、口腔環境が悪化。

後悔を防ぐには「事前準備・医院選び・ケアの継続」の3つが欠かせません。信頼できる歯科医師とともに、長期的な視点で治療計画を立てましょう。

関連ページ:やらなきゃよかったと後悔しないインプラント治療とは?

それでも成功できるケースはある?医師の技術で変わる結果

「骨が足りない」「年齢が高い」「持病がある」といった場合でも、近年のインプラント技術では対応できるケースが増えています。骨造成(GBR・サイナスリフト)やAll-on-4など、医師の経験と技術が結果を左右します。

高い技術力があれば、難症例でも成功する可能性があります。

成功に導く最新の治療法

  1. 骨造成術(GBR)

    → 骨の少ない部分に人工骨を補い、インプラントを支えられる土台を作る方法。
  2. サイナスリフト・ソケットリフト

    → 上顎の骨が薄い場合に、上顎洞の底を持ち上げて骨を増やす手術。
  3. All-on-4(オールオンフォー)

    → 少ない本数のインプラントで全顎を支える治療法。骨量が少ない方にも適応しやすい。
  4. サージカルガイドの使用

    → CTデータをもとに精密な位置決めを行うことで、安全性と成功率を高める。

「難しい」と言われたケースでも、専門知識と経験豊富な医師なら成功に導けることがあります。最新の技術を導入している医院に相談することが、後悔しない第一歩です。

関連ページ:GBR法(骨を増やす方法)

関連ページ:オールオン4

インプラントを検討する前に相談すべきポイントは?

カウンセリング

インプラントは一生ものの治療だからこそ、事前相談が欠かせません。治療費・期間・リスク・メンテナンスなどを丁寧に説明してくれる医院を選びましょう。無料カウンセリングを活用するのもおすすめです。

信頼できる医院選びが成功を左右します。

相談時に確認したいポイント

  1. カウンセリング内容が丁寧か

     → 治療の流れやリスクをしっかり説明してくれるかどうか。
  2. CT撮影などの精密検査があるか

     → 骨量・神経位置などを事前に正確に把握できるか。
  3. 医師の経験・症例数を確認する

     → 難症例や再治療の実績が豊富かどうか。
  4. 費用の明確さ

     → 追加料金や保証内容を事前に提示してくれるか。
  5. 術後のメンテナンス体制

     → 定期健診・クリーニングの案内があるか。

カウンセリングでは、「自分の疑問に納得できる答えが返ってくるか」が重要です。不安を残したまま治療を始めるのではなく、安心できる医院と二人三脚で進めましょう。

まとめ

リスクを理解すれば、インプラントは決して“やめたほうがいい治療”ではない

「やめたほうがいい」という言葉の裏には、“安易に受けるのは危険”という意味が隠れています。しかし、体調や生活習慣を整え、信頼できる歯科医師と相談しながら治療を進めれば、インプラントはしっかり噛めて長く使える確かな選択肢です。

「自分に向いているのか分からない」「他院で断られた」という方も、まずはセカンドオピニオンとして無料相談を受けてみましょう。最新技術と丁寧なカウンセリングを行う医院なら、あなたに合った最善の治療法が見つかるはずです。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

▶プロフィールを見る