インプラント治療前・治療後の疑問

インプラント手術後に痛みや腫れが出るのは普通?対処と注意点

インプラント手術後の痛みはどれくらい?痛みや腫れの抑え方

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

「インプラント手術って痛そうで不安…」「腫れたりしたらどうすればいいの?」と悩んでいませんか?実際に手術を控えている方や、術後の経過を見守っている方にとって、痛みや腫れはとても気になるポイントです。

この記事では、インプラント手術後に起こりやすい痛みや腫れについて、どのくらいの期間続くのかどう対処すればよいのかをわかりやすく解説していきます。読んだ後には「大丈夫、落ち着いて対処すればOK!」と思えるはずです。

手術後に起こる“痛み”と“腫れ”の正体とは?

手術後の痛みや腫れは、歯茎を切開してインプラントを埋め込むという処置によって起こるごく自然な反応です。

痛みのピークと回復のスケジュール

  • 術後0〜2日目:麻酔が切れてズキズキ。痛み・腫れのピーク
  • 3〜5日目:痛みや腫れが徐々に和らぐ
  • 7日目:抜糸を行うことが多く、違和感が軽減
  • 10〜14日目:ほとんどの方が通常通りに回復

手術の規模や処置内容(増骨など)により差がありますが、抜歯と同程度の痛みを想定しておけばOKです。

インプラント手術後は痛い?腫れる?

インプラントの手術中は麻酔をしますので痛みは感じません。しかし、手術が終わってご自宅に戻られ、麻酔が切れた後、ズキズキと痛みが起こるのではないかと不安に思われるかもしれません。

手術後の痛みの強さは、一般的には抜歯後の痛みと同程度です。痛みの感じ方には個人差がありますので、痛いと感じる方もおられれば、疼く程度と感じる方もおられます。また、インプラントの埋入本数が多い場合や増骨の処置をした場合は手術後に痛みや腫れや皮下出血が起こりやすいです。

手術後は痛みや腫れを抑えるための鎮痛剤や抗生物質が処方されます。痛みは鎮痛剤で抑えることが出来ますし、お薬を飲んでインプラントを埋入した部分を安静にしていただければ、腫れも早い方で2~3日程度、長くても1~2週間ほどでおさまります。

腫れや皮下出血のピークは術後2~3日後の方が多く、徐々に治っていきます。術後1~2週間程度で腫れがひいて元通りになるでしょう。

痛みのピーク

一般的に、インプラント手術後の痛みは術後24〜48時間でピークを迎えます。痛みの程度は、手術の規模や患者さんの体質によって異なりますが、多くの場合、軽度から中等度の痛みがみられます。鎮痛剤を服用することで十分にコントロールできることが多いです。

痛みが和らぐ時期

手術後3日目以降からは、徐々に痛みが軽減していくのが一般的です。5〜7日後には痛みがほとんど感じなくなるケースが多いですが、もしそれ以上痛みが続く場合や、痛みが強くなる場合は、歯科医に相談することが重要です。

痛み・腫れを軽くするためにできること

日常生活でのポイント

患部を冷やす:術後48時間以内は、15分冷やして15分休むを繰り返す

枕を高めにして寝る:腫れを抑える効果があります

柔らかい食事を選ぶ:ゼリー・スープ・おかゆなどを反対側で噛む

処方された薬をきちんと飲む:鎮痛剤と抗生物質を忘れずに

舌や指で患部を触らない:傷口の治りが遅れます

  • 歯磨きは指示通りに:術部以外は丁寧に磨く
  • タバコ・アルコール・運動は控える:治癒を妨げます

しっかり対処することで、痛みや腫れを最小限に抑えられます。

過度な運動の回避

術後数日間は、激しい運動や過度な活動を避けることが重要です。運動によって血圧が上昇し、痛みや腫れが悪化する可能性があるため、安静に過ごすことが回復を促進します。

飲食に関する注意

手術直後は、柔らかい食べ物や冷たい飲み物を摂ることで、患部に負担をかけないようにしましょう。硬いものや熱い飲食物は避け、痛みや腫れが収まるまでの間、無理をしないことが大切です。

「これって大丈夫?」よくある不安と目安

以下のような症状がある場合は、担当の歯科医に連絡しましょう。

すぐに相談すべき症状

  • 鎮痛剤が効かないほどの強い痛みが続く
  • 術後3〜4日たっても腫れや痛みが悪化
  • 膿や出血、鼻血が出てくる
  • 顎のしびれや感覚の異常
  • 薬の副作用(下痢、湿疹など)

逆に、痛みが日に日に引いていく場合や、腫れが1週間程度で落ち着いてくるなら心配いりません。

痛みや腫れが長引く原因とは?

ドライソケット

  • 血餅がうまくできず骨が露出することで、強い痛みが長く続く状態です。

インプラント手術後に痛みが続く場合、ドライソケットの可能性があります。これは、インプラントの周囲に血栓ができず、骨が露出してしまうことで起こります。ドライソケットになると、強い痛みが長期間続くことがあるため、すぐに歯科医に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

感染症

  • 傷口に細菌が入ることで炎症が起き、痛みや腫れが悪化します。
  • どちらも早期対応が大切なので、異常を感じたら放置せずに相談を。

手術後の痛みが急に強くなったり、腫れが引かない場合は、感染症の可能性があります。感染が進行すると、インプラントの成功率に影響を及ぼすため、早期に適切な治療を受けることが必要です。

腫れへの対処法

冷却療法

術後48時間以内は、腫れを抑えるためにアイスパックや保冷剤などを使用して患部を冷やすことが推奨されます。15分冷やして15分休むというサイクルを繰り返すことで、腫れや炎症を効果的に軽減できます。ただし、直接肌に当てないようにし、タオルなどで包んでから当てることが重要です。

頭を高くして寝る

寝る際には、頭を高くして寝ることで血流をコントロールし、腫れを軽減することができます。枕を2つ重ねるか、リクライニングチェアを使用するのも有効です。

鎮痛剤と抗生物質の使用

鎮痛剤の効果的な使用

歯科医から処方される鎮痛剤を適切に服用することで、術後の痛みを管理できます。痛みが出る前に、予防的に服用することで、痛みを最小限に抑えることができます。処方通りに使用することが大切です。

抗生物質の服用

術後の感染予防のために抗生物質が処方されることがあります。抗生物質を正しく服用することで、術後の感染症リスクを減らし、炎症や腫れを抑えることが可能です。

こんな症状には注意!すぐに担当医に連絡を!

連絡

インプラント手術後2週間程度の間に下記のような症状が出た時は、すぐに担当医に連絡しましょう。

  1. 鎮痛剤がきかない
  2. 3~4日たっても痛みが治まらない
  3. 痛み止め、抗生剤を飲んで下痢や湿疹がでるなど体調が悪くなった
  4. 手術後に鼻血や膿が出る
  5. 手術後に顎のしびれや麻痺が出た

歯茎を縫った部分の違和感はどのくらいで消える?

インプラント手術では歯ぐきを切開してインプラント体を顎骨に埋め込みます。その後歯茎をきれいに縫い合わせると一時オペが終了します。

歯茎を縫った部分の違和感にも個人差が大きく、違和感を感じる方と全く感じない方がおられます。違和感を感じる方の中には、違和感を痛みとして感じる方もおられますが、手術後7日程度で抜糸を行うことで症状は改善します。

手術後は傷口が気になると思いますが、指や歯ブラシで触らないようにしましょう。

インプラント手術後のタバコをのリスク

喫煙

喫煙すると歯肉の免疫力が低下しますので、お口の粘膜の治癒が遅れ、細菌に感染しやすくなります。歯周病菌にも感染しやすくなるため、インプラントの歯周病を起こしやすくなります。インプラントを長く使っていくためにも、禁煙を続けることをおすすめします。

まとめ

落ち着いて対処すれば大丈夫!

インプラント手術後の痛みや腫れは、誰にでも起こるごく自然な反応です。しっかりとしたケアと、医師の指示を守ることで、安心して回復を迎えることができます。

「いつまで続くのか不安…」という気持ちも、時間とともに和らいでいきます。無理せず、ご自身の体と向き合って、ゆっくり回復していきましょう!

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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