インプラントの基礎知識

インプラントの埋入本数の例について知りたい

インプラントの埋入本数の例について知りたい

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

1本の歯を補うために、必ずしも1本のインプラントが必要なわけではありません。欠損した歯の場所や本数によって、必要なインプラントの埋入本数が変わる場合がありますので、ご説明します。

1本歯を失った場合のインプラント治療

インプラント1本

歯を1本だけ失った場合のインプラントは、抜けた歯が埋まっていた骨の部分に、失った歯の代わりになる人工歯根を1本埋め込み、上部構造を取り付けます。

2本の連続した歯を失った場合のインプラント治療

歯を連続して2本失った場合は、2本のインプラントを埋入し、それぞれに上部構造を一つずつ装着します。

3本の連続した歯を失った場合のインプラント治療

インプラント2本でブリッジに

3本の歯を連続して失った場合は、インプラントを3本埋入しなくても、2本のインプラントを埋入してブリッジを作る方法で治療が可能です。

インプラントでブリッジを作る方法は、通常のブリッジと同じく、失った歯が連続して1~3本程度の場合に適用となります。歯が4本以上連続で欠損している場合は、土台で支えきれなくなりますので、ブリッジにすることが出来ません。

ブリッジについて

通常のブリッジ治療は、失った歯の両隣の歯を削って土台にして橋をかけるようにして、連結した人工の歯を接着する方法です。両隣の歯は健康な歯でなければなりません。失った歯が1~3本までの場合にブリッジが可能です。

全ての歯を失った場合のインプラント治療

片顎の歯が1本も残っていない場合、本来は14本の歯を補う必要があります。実際の治療では下顎の場合は4~6本、上顎の場合6~8本のインプラントを埋め込んで全ての歯を補うケースも多くあり、インプラントの上には連結した上部構造を装着します。

全ての歯を失った総入れ歯の方向けのインプラント治療には種類があり、比較的良く使われているオールオン4と、インプラントオーバーデンチャーについてご説明します。

オールオン4

オールオン4

オールオンフォーはノーベルバイオケア社によって開発された、総入れ歯の方向けの治療です。奥の2本は神経や血管を避けて長めのインプラントを斜めに埋入します。インプラントの埋入本数は片顎4~6本で全ての歯を作ります。

オールオン4の上部構造は歯茎に似せたピンク色の構造の上に12本の歯が連結されて一体化させた形になっています。総入れ歯と違って床の部分がありませんので、小さくシンプルな形となります。

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーとは、インプラントで総入れ歯を固定する治療法のひとつです。通常の総入れ歯は歯茎や粘膜で固定されますが、インプラントが支えになりますので、安定していて噛む力も強いのが特徴です。インプラントの埋入本数は片顎2~4本程度です。

磁石を利用して入れ歯を安定させる方法

インプラントと入れ歯の双方に磁石を取り付け、磁石の力で入れ歯を固定します。

ロケーターを利用して入れ歯を安定させる方法

インプラントと入れ歯の双方にロケーターと呼ばれる樹脂製のアタッチメントをつけ、アタッチメント同士を連結させて入れ歯を安定させます。

インプラントの埋入に関するQ&A

インプラント治療では1本の歯を補うために必ず1本のインプラントが必要ですか?

インプラント治療では、必ずしも1本の歯に対して1本のインプラントが必要とは限りません。欠損した歯の位置や本数によって、必要なインプラントの本数は変わる場合があります。

2本の連続した歯を失った場合、何本のインプラントが必要ですか?

2本の連続した歯を失った場合、通常は2本のインプラントが必要になります。

3本の連続した歯を失った場合、インプラント治療には何本のインプラントが必要ですか?

3本の連続した歯を失った場合、通常は2本のインプラントを埋め込み、ブリッジを作る方法が治療として選択されることがあります。

まとめ

インプラントの埋入本数の例

歯を失った本数によって、インプラントでの治療方法が変わる場合があります。どのような術式が患者さんにぴったりなのかは、担当医がお口や歯の状態を診させていただき、治療計画をご提案します。特に総入れ歯が合わなくてお困りの方は、インプラントで総入れ歯を固定するインプラントオーバーデンチャーやオールオン4などをぜひご検討頂きたく思います。

インプラントの埋入本数に関する情報を含む2つの論文を見つけました。

1. インプラント治療における骨再生の主要なアプローチと臨床成果のシステマティックレビュー
このレビューでは、世界中で年間約100万本のデンタルインプラントが行われていると述べられています。また、インプラントの成功には正しい骨形成が不可欠であり、そのためには様々な手術技術が使われることが説明されています。インプラントの埋入本数は多岐にわたる可能性があることが示唆されています。【Faveri et al., 2022

2. デジタルパノラマ放射線画像におけるデンタルインプラント計画のための欠損歯領域検出のための深層学習
この研究では、デンタルインプラントの配置計画において欠損歯領域を検出する自動化方法を提案しています。この技術は、インプラントの位置と本数を正確に識別することを目的としています。これは、インプラントを計画する際に様々な本数のインプラントが使用される可能性を示しています。【Park et al., 2022

これらの論文から、インプラントの埋入本数は治療計画により大きく異なり、患者ごとに最適な本数が決定されることがわかります。また、デンタルインプラントの成功には、正しい骨再生が不可欠であるため、インプラントの埋入本数だけでなく、その他の治療プロセスも重要であることが示されています。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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