インプラント

インプラント治療の年齢別の傾向とは?50代からの選択肢、そして80代の挑戦

インプラント治療の年齢別の傾向とは?

「入れ歯にはちょっと抵抗があるけど、インプラントって若い人の治療じゃないの?」

そう思ってる人、けっこう多くおられます。でも実は、インプラント治療を選ぶ方の中心は50代〜60代、そして70代以上の高齢層がかなりの割合を占めているんです。

今回は、年代別のデータから見えてくる“インプラントと年齢”の関係を、ちょっとディープに、でもわかりやすくご説明します。

データで見るインプラント治療の「年齢別リアル」

調査や学会報告によると、以下のような年齢層分布が見えてきます。

50代〜60代:最多層

→ 歯の喪失が現実的に起き始め、見た目や噛みやすさを求めて治療に踏み切る人が多い。

70代〜80代:意外に多いチャレンジャー世代

→ 入れ歯では満足できず、QOL(生活の質)を大事にしたいという思いからインプラントを選ぶ方が増加。

40代以下:少数派だが確実に存在

→ 事故や先天性欠損、または過去の治療の影響によってインプラントが必要になるケース。

とくに長期にわたりインプラントを維持している患者さんの多くは60代〜80代。アンケート調査では、70代で76%、80代で75%の人が「なんでもよく噛める」と回答しています。

高齢者のインプラント治療の割合

厚生労働省の「平成28年歯科疾患実態調査」によると、65歳以上の高齢者のうち、インプラントを装着している人の割合は3.6%と報告されています。​

また、同調査では40歳以上の全体でのインプラント装着率は2.7%とされており、高齢者層での装着率がやや高いことが示されています。

年齢層別のインプラント治療の実態

九州インプラント研究会が行った20年以上経過したインプラント患者へのアンケート調査では、回答者の約90%が60歳代から80歳代であり、長期経過の症例において高齢者が多くを占めていることが示されています。 ​

J-STAGE

また、2009年に発表された「70歳以上の高齢者における歯科インプラント治療についての実態調査」では、70歳以上の高齢者におけるインプラント治療の実態が報告されています。 ​

年齢で変わる“治療を受ける動機”って?

年齢で変わる治療を受ける動機

年齢ごとにインプラントを希望する理由って、意外と違うんですよ。例えば…

50代の動機:人生後半戦を「自分らしく」生きるための一手

 → 子育てもひと段落して、自分のことに目を向ける余裕が出てくる時期。「これからの20年、自分の歯で食べたい」と思う人が急増。

60代の動機:入れ歯の不便さにNO!

 → 見た目の違和感、話しづらさ、外れやすさなど、入れ歯での不自由を感じていた人がインプラントを希望。

70代・80代の動機:生きがいを守る“最後の武器”

 → 食べられることが喜び。外出や会話を楽しむために、“噛めること”を最重要視。まさに生活の質を死守する戦い。

年齢を重ねるほど、「食べること」や「話すこと」って、人生の大事な“喜び”に直結してくるんですよね。それを支えてくれるのがインプラントってわけです。

でも、年齢が上がるとやっぱりリスクもある?

正直な話、あります。ただし、「高齢=無理」ではないのが現代のインプラント治療です。

リスク要因と対策まとめ

リスク 原因・背景 どう対処する?
全身疾患の影響 糖尿病、心疾患など 主治医と連携、手術方法を調整
セルフケア力の低下 手が不自由、認知機能の問題など 家族のサポート、訪問ケアの導入
骨の量が少ない 加齢による骨吸収 骨造成術などで対応可能な時代に

「高齢だから無理」とあきらめる前に、「どうしたらできるか?」の視点で考えるのが今の医療スタイルです。実際に80代でもインプラントを入れて快適に過ごしている方、かなり多いです。

年代別に見る“後悔しないための準備”とは?

インプラント治療って、決して「勢い」だけで決めるもんじゃない。

年齢によって、お口の状態も、生活スタイルも、将来の見え方もぜんっぜん違うから、「ちゃんと準備してたかどうか」でその後の快適さに大きく差が出てくるんです。

ここでは、年代ごとに「これをやっておくと、あとで後悔しないよ!」っていうポイントを解説していきます。

40代:まだ先…なんて思わないで。未来への貯金を始めよう

「今はまだ歯も健康だし大丈夫」…確かにそう。でも実は、インプラントが“必要になるかもしれない年代”へのスタートラインが40代なんです。

準備ポイント:

  • 歯周病予防を強化(インプラントの敵は歯周病!)
  • 定期的な歯科健診で「骨の状態」を把握
  • 将来のために、治療歴の少ない状態をキープ

「将来必要になったとき、受けられる状態をつくっておく」

これができてる人は、50代で歯を失ってもスムーズに対応できます!

50代:選択肢が広い今こそ、ベストな判断を

歯を失う人が増え始めるこの時期は、まさに分岐点。「ブリッジ?入れ歯?インプラント?」と選択に迷う人が多い年代です。

準備ポイント:

  • 抜歯後は早めに専門医に相談(時間が経つと骨が減る!)
  • セカンドオピニオンで“比較検討”もOK
  • 自分のライフスタイルに合った選択を見極める

「焦って決める」より「今だからこそ考える」

ここでしっかり準備して選んだ人は、10年後も「これでよかった」と思えてます。

60代:身体の変化と“一緒に進む”視点が大事

治療への体力的な不安や、持病とのバランスが気になってくるこの年代。でも、まだまだ“しっかり噛める口”でいたいという希望も強い世代です。

備ポイント:

  • 全身の健康状態をチェック(主治医と連携が◎)
  • 骨の量・質の検査(CTや歯科用レントゲンで事前に把握)
  • 治療後のメンテナンス習慣を確認&整える

「できるか」じゃなく「どう進めるか」を考える

この年代で準備を怠らなかった人は、年齢を言い訳にせず、前向きに治療を受けてます。

70代・80代:年齢よりも“生活の質”を大切に

この年代になると、「年だから…」と引っ込んじゃう方も。でも、噛めない・話しにくいことで生活の楽しみが減ってしまうのって、もったいなさすぎます。

準備ポイント:

  • インプラントが“自立を支える”治療であることを理解
  • 家族と一緒に治療計画を相談(サポート体制づくり)
  • メンテナンスの継続方法(通院が難しい場合の工夫など)

「年齢=制限」じゃない。「年齢=今の自分を知る鍵」

この年代でも、「もっと早くやっておけばよかった!」って言ってる人、かなり多いです。

年齢ごとに“備える視点”は変わる!

インプラント治療って、結局「準備が9割」なんですよね。

  • 40代は“未来への貯金”
  • 50代は“選択の最適化”
  • 60代は“安心して進むための土台づくり”
  • 70代以降は“人生の質を守るための知恵と工夫”

どの年代にも、ちゃんと“準備できること”がある。

だからこそ、年齢を理由に迷うより、「今できることをやってみよう」って気持ちが大事なんです。

年齢だけじゃない、「タイミング」がカギ

ここでちょっと視点を変えて、「年齢」ではなく「タイミング」に注目してみましょう。

歯を失った直後が一番おすすめのタイミング

→ 骨がまだ吸収されておらず、手術の難易度が低く済む。

歯を抜いて放置すると…?

→ 周囲の骨がどんどん減って、インプラントが難しくなる or 骨造成が必要に。

つまり、年齢は関係ないけど「迷っている時間が長いほどハードモードになる」って話。悩んでいる人こそ、今この瞬間がチャンスってことです。

まとめ

インプラント治療において、年齢は決して“できる・できない”を決めるジャッジ基準ではありません。

大切なのは、その人の「生活をどうしたいか」という想いです。

見た目を整えたい

好きなものを食べたい

人との会話を楽しみたい

そんな願いを、年齢に関係なく叶えるための手段として、インプラントは進化を続けています。

「私はもう歳だから」と引っ込まず、まずは“どう生きたいか”を考えてみてください。

そこからスタートする治療なら、きっとあなたの人生にぴったりフィットするはずです。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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