インプラントは先天性欠如歯の治療としても優れている?
インプラントは先天性欠如歯の治療法として非常に有効です。他の治療法に比べて見た目が自然で機能的にも優れており、長期的な安定性が高いため、欠如している歯を補う最適な方法のひとつといえます。
この記事はこんな方に向いています
- 先天性欠如歯(生まれつき歯がない)と診断された方
- ブリッジや入れ歯以外の選択肢を探している方
- 永久歯が生えてこないお子さんやご家族を心配している方
この記事を読むとわかること
- 先天性欠如歯とはどのような状態か
- インプラントが選ばれる理由
- 他の治療法との違いとメリット・デメリット
- 年齢ごとの治療のタイミング
- インプラントを長持ちさせるためのケア方法
目次
先天性欠如歯とは?
先天性欠如歯とは、生まれつき一部の永久歯が存在しない状態を指します。特に前歯や小臼歯に多く見られ、見た目や噛み合わせに影響を与えることがあります。早期に気づいて適切な対応をすることが大切です。
先天性欠如歯は、生まれつき永久歯が欠けている状態です。
先天性欠如歯の主な特徴
- 特定の歯が永久歯として生えてこない
- 乳歯が長く残る
- 噛み合わせ(咬合)が不安定になりやすい
- 歯並び(不正咬合)や顔貌に影響することもある
上記のような特徴があり、審美的にも機能的にも問題が生じる場合があります。
どんな歯が先天性欠如歯になりやすいの?
先天性欠如は次の歯で起こることが多いです。
- 上の側切歯(前歯の横)
- 下の第二小臼歯
- 下の前歯
これらは歯の発生時期が比較的遅いため、形成段階での遺伝的要因や発育異常が影響すると考えられています。
なぜ早期発見が大切なの?
早い段階でレントゲン撮影や歯科健診を行うことで、歯列全体の成長計画を立てやすくなります。永久歯が存在しないとわかった場合には、
- 乳歯をできる限り維持する
- 将来的にインプラントやブリッジを検討する
といった長期的な見通しを立てることが可能になります。
永久歯に生え変わる気配がない歯がある場合、先天性欠如歯の可能性があります。現代では歯の本数が先天的に足りない子供が増えています。
子どもの10人に1人は永久歯に先天性欠如がある?
近年、子どもの歯並びが悪くなる一方です。それは食生活が変わって硬いものをあまり食べなくなった結果、顎の骨が発達せず、小さな顎に全ての歯が並びきらないため、歯がガタガタに生えたり、二重に生えたりするのだといわれています。
永久歯に先天性欠如があり、永久歯が生えてこない部分のある子どもも増えてきています。日本小児学会の公開講座では2010年の段階で、1本以上の永久歯が生えてこない子どもが10%いるという調査結果が発表されています。10%といえば10人に一人ですから、かなりの確率になります。一方で、過剰歯と呼ばれる、歯の本数が通常よりも多い子もみられます。
永久歯に先天性欠如がみつかったらどうしたらいい?
このように永久歯に先天性欠如があって永久歯が生えてこない場合は、その部分の乳歯を大切に一生使うことになります。ただし、大事にしても乳歯が一生もつことは極めてまれで、大体は大人になる頃にはぐらぐらし始め、抜けてしまうことが多いです。
その後は入れ歯やブリッジをしなければならないかというと、近年ではインプラントをする方が増えています。入れ歯をするには若すぎるし、ブリッジは健康な歯を2本削らなければならないというのがその理由です。ただし、インプラント治療を受けるには成長期が終わっていなければなりません。だいたい16才くらいからインプラント治療が可能になります。
2020年4月より、先天性欠損歯(先天性欠如歯)が6歯以上ある場合に、 保険適用でのインプラント治療が可能になりました。但し、公的医療保険を適用してインプラント治療を受けることができる病院は限られています。
なぜインプラントが先天性欠如歯の治療に向いているの?
インプラントは周囲の健康な歯を削らずに欠如した歯を補えるため、生まれつき歯がないケースにも非常に適した治療法です。見た目が自然で、咀嚼力も高く、長期的な安定性にも優れています。
インプラントは欠如部分を補うのに自然で長持ちする治療法です。
インプラントが選ばれる理由
- 健康な歯を削らない
→ ブリッジのように両隣の歯を削る必要がありません。 - 見た目が自然
→ 人工歯根(チタン)が骨と結合するため、まるで天然歯のような仕上がりになります。 - 咀嚼機能が高い
→ 顎の骨にしっかり固定されるため、入れ歯よりも強く噛めます。 - 骨の吸収を防ぐ
→ インプラントを埋入することで、顎の骨に刺激が加わり、骨の減少を防ぎます。
治療後の満足度が高い理由
先天性欠如歯の方は、歯並びや発音にコンプレックスを抱くことも少なくありません。インプラント治療によって「自然な笑顔を取り戻せた」と感じる方が多く、審美性・機能性・心理的満足度のすべてにおいて優れた結果をもたらします。
インプラントはブリッジや入れ歯と比べてどんな違いがあるの?
ブリッジや入れ歯も選択肢のひとつですが、周囲の歯や骨への影響、見た目の自然さ、長期的な安定性の点でインプラントが優れています。どの方法にも一長一短があるため、比較して検討することが大切です。
他の治療法よりもインプラントは見た目・機能・持続性で優れています。
| 治療法 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| インプラント | 骨に人工歯根を埋め込む | 周囲の歯を削らない/自然な見た目/長持ち | 外科手術が必要/費用がやや高い |
| ブリッジ | 隣の歯を削って固定 | 比較的短期間で治療可能 | 健康な歯を削る必要がある/支台歯に負担 |
| 入れ歯 | 取り外し式の義歯 | 費用が安い/短期間で完成 | 違和感やズレが生じやすい/噛む力が弱い |
先天性欠如歯の場合、隣の歯が健康なことが多いため、削るリスクを避けられるインプラントが理想的です。一方、年齢や骨量などの条件も関係するため、総合的な診断が欠かせません。
子供でもインプラントはできるの?適切な時期は?
成長期のお子さんにはインプラント治療は基本的に行いません。顎の骨の成長が完了していないと、インプラントが成長に追いつかず位置がずれてしまう恐れがあるためです。成人期に入ってからが適切です。
顎の成長が止まってからがインプラント治療のタイミングです。
治療までの対応方法
- 乳歯をできるだけ長く維持する
→ 自然な見た目と機能を保つための一時的な方法です。 - 仮歯や保隙装置を使用する
→ 欠損部分のスペースを確保し、歯並びが乱れないようにします。 - 成長後にインプラントを検討
→ 顎の成長が安定した時期(18歳前後以降)に本格的な治療を行います。
お子さんの先天性欠如歯は、成長に伴い見た目や噛み合わせの問題が大きくなるため、長期的な治療計画が重要です。
矯正治療と組み合わせてスペースを確保するケースもあり、歯科医師・矯正医の連携が成功の鍵になります。
永久歯が欠損している部分の乳歯が抜けてしまった場合はすぐに治療しましょう
乳歯が残っている間は問題無く噛めますが、抜けてしまってからは速やかに治療して歯のない部分を補わねばなりません。何年も放置すると隣の歯が空いたスペースに倒れてきたり、全体の咬み合わせが悪くなることがあります。若い方の歯周組織は柔らかいため歯が動きやすく、注意が必要です。
何れにしましても、永久歯に先天性欠如がある場合は定期的に歯科を受診し、歯科医師のケアを受けながら日常生活を送っていただくのがよいと思います。
先天性欠如のはっきりとした原因はわかっていません。遺伝であるとか、栄養が足りないからとか、人間の顎が退化していっているから等と言われていますが、実際には原因不明とされています。そのため予防も出来ない状態にあります。
永久歯の先天性欠如の場合のインプラントに関するQ&A
先天性欠如歯とは、乳歯のままで永久歯が生えてこない状態のことです。
先天性欠如歯の治療法として、最近ではインプラントがよく行われています。
乳歯を失った後、インプラント治療や入れ歯、ブリッジなどが選択肢となります。
まとめ
インプラントは機能・審美性ともに優れた選択肢
先天性欠如歯に対する治療として、インプラントは自然な見た目・高い咀嚼力・周囲の歯への負担の少なさの三拍子が揃った方法です。成長や口腔状態に合わせた計画を立てることで、生涯にわたって快適な噛み心地を得られます。
先天性欠如歯の治療には、インプラントが理想的です。
- 先天性欠如歯とは、生まれつき永久歯が欠けている状態
- 成長後にはインプラントが最も自然で長持ちする治療法
- 健康な歯を削らず、見た目・機能ともに優れている
- 適切なメンテナンスで長期的に快適な口腔環境を維持できる
先天性欠如歯は見た目だけでなく、噛む・話すといった機能にも影響を与えるため、放置せずに専門医へ相談することが大切です。
医療法人真摯会