インプラント

インプラントは永久歯の先天性欠如の治療としても優れている?

インプラントは永久歯の先天性欠如の強い味方

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

近年、永久歯の中で数本生えてこない歯がある子供が増えてきました。そのような状態を永久歯の先天性欠如といいます。乳歯が永久歯に生え変わることが出来ないため、乳歯を大切に長く使うことが必要になりますが、大人になると乳歯は自然に抜けてしまう場合が殆どです。そんな時に歯を補う治療法としてインプラントが注目されています。

先天性欠如歯とは?

乳歯のままで永久歯が生えてこない歯のことを、先天性欠如歯といい、昔はとても珍しかったのですが、最近では若い方の中に時々みられるようになりました。

先天性欠如歯の方は、永久歯が存在しない場所がありますので、その場所の乳歯をしっかりとケアして虫歯にならないように気を付けながら、出来るだけ長く保たせることが必要です。中には、あごの骨に乳歯が吸収され、抜かなければならないという方もおられます。その場合、抜けた歯のスペースにインプラントをするという治療法が、近年よく行われるようになりました。

インプラントの場合は、抜けた歯の左右の歯に負担をかけるとなく治療できるのが何よりも利点と言えます。ブリッジにすると、左右の歯で抜けた部分の義歯を支えることになるので、左右の歯を削らなければなりませんし、そのブリッジも個人差はありますが、8~15年くらいで支えの歯が虫歯になるなどして、治療をやり直さなければならないことになります。支えの歯を抜かなければならなくなることも多いのです。

先天性欠如歯の方は20~30才位で乳歯を失うことが多く、まだお若いため、部分入れ歯という選択肢を選択される方は殆どおられません。そこでインプラント治療が注目されることになるのですが、インプラント治療は保険のきかない自由診療であるため、他の治療法よりも費用がかかり、そのための準備が必要となります。

永久歯に生え変わる気配がない歯がある場合、先天性欠如歯の可能性があります。現代では歯の本数が先天的に足りない子供が増えています。

 

子どもの10人に1人は永久歯に先天性欠如がある?

 

近年、子どもの歯並びが悪くなる一方です。それは食生活が変わって硬いものをあまり食べなくなった結果、顎の骨が発達せず、小さな顎に全ての歯が並びきらないため、歯がガタガタに生えたり、二重に生えたりするのだといわれています。

永久歯に先天性欠如があり、永久歯が生えてこない部分のある子どもも増えてきています。日本小児学会の公開講座では2010年の段階で、1本以上の永久歯が生えてこない子どもが10%いるという調査結果が発表されています。10%といえば10人に一人ですから、かなりの確率になります。一方で、過剰歯と呼ばれる、歯の本数が通常よりも多い子もみられます。

永久歯に先天性欠如がみつかったらどうしたらいい?

このように永久歯に先天性欠如があって永久歯が生えてこない場合は、その部分の乳歯を大切に一生使うことになります。ただし、大事にしても乳歯が一生もつことは極めてまれで、大体は大人になる頃にはぐらぐらし始め、抜けてしまうことが多いです。

その後は入れ歯やブリッジをしなければならないかというと、近年ではインプラントをする方が増えています。入れ歯をするには若すぎるし、ブリッジは健康な歯を2本削らなければならないというのがその理由です。ただし、インプラント治療を受けるには成長期が終わっていなければなりません。だいたい16才くらいからインプラント治療が可能になります。

2020年4月より、先天性欠損歯(先天性欠如歯)が6歯以上ある場合に、 保険適用でのインプラント治療が可能になりました。但し、公的医療保険を適用してインプラント治療を受けることができる病院は限られています。

永久歯が欠損している部分の乳歯が抜けてしまった場合はすぐに治療しましょう

乳歯が残っている間は問題無く噛めますが、抜けてしまってからは速やかに治療して歯のない部分を補わねばなりません。何年も放置すると隣の歯が空いたスペースに倒れてきたり、全体の咬み合わせが悪くなることがあります。若い方の歯周組織は柔らかいため歯が動きやすく、注意が必要です。

何れにしましても、永久歯に先天性欠如がある場合は定期的に歯科を受診し、歯科医師のケアを受けながら日常生活を送っていただくのがよいと思います。

先天性欠如のはっきりとした原因はわかっていません。遺伝であるとか、栄養が足りないからとか、人間の顎が退化していっているから等と言われていますが、実際には原因不明とされています。そのため予防も出来ない状態にあります。

永久歯の先天性欠如の場合のインプラントに関するQ&A

永久歯の先天性欠如とは何ですか?

先天性欠如歯とは、乳歯のままで永久歯が生えてこない状態のことです。

先天性欠如歯の治療法はありますか?

先天性欠如歯の治療法として、最近ではインプラントがよく行われています。

先天性欠如歯の場合、乳歯を失った後はどのような治療方法がありますか?

乳歯を失った後、インプラント治療や入れ歯、ブリッジなどが選択肢となります。

 

まとめ

先天性欠如歯は生まれつきの疾患で、患者さんご本人には原因も落ち度もありません。なぜ永久歯の先天性欠如が起こるのか、

原因が明らかになっていませんので、予防することも出来ません。

先天性欠如歯のご相談は年々増えていますので、何とか早く保険で十分な治療が出来るようにならないものかと常々思っています。

 

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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