総入れ歯とオールオン4はどちらも全ての歯を失った方への治療方法です。虫歯や歯周病などで歯を全部失った場合の、総入れ歯とオールオン4の治療方法の違いやメリット、デメリットについてご説明します。
目次
総入れ歯とオールオン4の違いは?
総入れ歯とオールオンフォーは、どちらも歯が1本もない、全ての歯を失った方への治療となります。会話や食事のしやすさ、見た目などがどの程度良くなるかが気にかかるところだと思います。
総入れ歯を使用していてお困りの方は、「噛めない」「違和感が強い」というお悩みが多いです。総入れ歯の違和感が強いのは、特に上顎用の総入れ歯を装着した時に、入れ歯を安定させるために口蓋を大きく覆ってしまう必要があるからです。
上顎の奥の方を刺激されると嘔吐反射が起こりやすいため、上顎の総入れ歯を入れると気持ち悪くなる方もおられます。オールオン4はその点では最小限歯茎を覆うだけの作りになっていますので、違和感が少なくなります。
総入れ歯の良い点は、保険診療で安く作れるということです、保険診療では使える材料が決まっていますので、同じ総入れ歯でも自費診療で作ると床の部分に金属を使えますので、全体を薄く作ることが出来、違和感が少し改善されます。
しかしインプラントはもともと自費診療ですので、オールオン4は総入れ歯と比べると治療費がかなり高くなってしまい、費用がかかってしまうという違いは大きいです。
これらの違いを総合的に考えて、総入れ歯かオールオン4か、どちらの治療にするかを選ばれると良いでしょう。
総入れ歯とは
総入れ歯は上顎か下顎、または上下の全ての歯を失った方へのもっとも一般的で保険適用で出来る治療法です。
総入れ歯は取り外し可能な義歯で、歯茎や口の形に合わせて作られ、装着時には口内の吸着力や、場合によっては専用の安定剤を使って固定します。入れ歯は比較的低コストなものもあり、外科的な手術が不要なため、手軽に歯の機能を回復することができます。
- 床(しょう)と呼ばれる歯茎に似せたプラスチック製のピンク色の部分と、人工歯から出来ており、歯茎を覆う形をしていて、患者さんがご自身で着脱して使います。
- 総入れ歯には上顎用と下顎用があり、上顎用は床の部分が大きく口蓋を覆う形になっていて、床を粘膜に吸着させることで安定させます。
- 下顎用は床部分が小さい形状になっています。
- 総入れ歯を使い続けると顎の骨が痩せていきますので、数年ごとに入れ歯の調整や作り直しが必要になります。
- 保険適用のため費用が安く抑えられます。自費診療の総入れ歯は上顎の床の部分に金属を使うなど、快適に使えるように工夫されています。
オールオン4とは
オールオン4(オールオンフォー)は、4~6本という少ない本数のインプラントで上顎または下顎の10~12本の歯を作ります。
従来は多くの歯を失った方の場合、8~14本くらいの本数のインプラントの埋入が必要で、費用も身体の負担も大きいものでしたが、オールオンフォーでは最少で4本のインプラントで済みます。
オールオン4では前歯の位置に2本のインプラントを埋入し、その奥のインプラントは少し長いインプラントを斜めに埋め込みます。そのため骨量の少ない方でも手術可能になり、少ない本数のインプラントで総入れ歯のような形の上部構造を支えることが可能です。
1日の手術で仮歯を入れることが出来ますので、軟らかいものでしたらその日からお食事が出来ます。また、総入れ歯と違って固定式なので外して洗う必要はなく、天然歯と同じように1日に2~3回の歯磨きでケアします。
インプラントは自費診療なので総入れ歯と比べると治療費はかなり高額になります。
オールオン4が向いている人
オールオン4が向いている方は、総入れ歯を既にお使いで、入れ歯が合わなくて困っておられる方です。
総入れ歯はどうしても使っている間に骨が痩せていってしまいますので、調整しても段々合わなくなって、ものを噛むと粘膜の部分が痛くなったり、力を入れて噛むことが出来なくなったりします。総入れ歯が変形しているのではなく、お口の中の形が変わってしまうのです。
総入れ歯がお口に合っていないのに無理に使い続けると、粘膜を傷つけたり口内炎が出来る減員になります。総入れ歯は歯茎の歯茎に乗せた状態で使いますので、粘膜を傷めると痛みが起こり、痛くて噛めないということが起こってしまいます。
それでなくとも総入れ歯の噛む力は、天然の歯の10分の1程度しか出ませんので、粘膜を傷めて痛くて噛めないとなると、普通なら楽しみであるはずの食事が、苦痛なものに変わってしまい、食べることに苦労することになります。
さらに、上顎の総入れ歯は外れないように安定を保つために口蓋を大きく覆いますので、嘔吐反射の原因になります。嘔吐が我慢できずに、総入れ歯を長く装着するのが不可能な方もおられます。
このように、総入れ歯が合わなくて苦労しておられる方は、オールオン4を選択肢として考えてみるのも良いでしょう。
インプラント治療を受けられない人もいる
オールオン4は4~6本という少ないインプラントの埋入で10~12本の歯を作れますので、患者さんの身体的、金銭的な負担が少ない治療です。
しかしオールオン4で治療したいと思っても、持病があるためにインプラント手術を受けられない方もおられます。
インプラント手術が受けられない代表的な病気は、心臓病、高血圧、糖尿病、脳梗塞、骨粗しょう症などです。これらの病気の方は、インプラント手術の際のリスクが高いため、注意が必要です。
内科の主治医の先生と相談の上、投薬を中止したり、数値をコントロールしたりすることで手術が可能になる場合もあります。
【動画】オールオン4について
クローバー歯科総院長の松本正洋がオールオン4について解説。
総入れ歯とオールオン4の違いに関するQ&A
総入れ歯は床部分が大きく口蓋を覆い、床を粘膜に吸着させることで安定させます。一方、オールオン4は4本から6本のインプラントを使用し、10本から12本の歯を作ります。また、オールオン4は固定式であり、入れ歯を外して洗う必要がありません。
総入れ歯の利点は、保険適用のため費用が安く抑えられることです。また、自費診療では金属を使うなどの工夫が行われ、より快適に使用することができます。
オールオン4では、手術の日に仮歯を入れることができるため、食事が可能です。また、固定式であり、取り外して洗う必要がないため、総入れ歯と比較して違和感が少なく、歯磨きのケアも簡単です。
まとめ
総入れ歯とオールオン4の違いについてご説明しました。どちらにもメリットとデメリットがありますので、良く比較して治療方法を決めることが大切です。
オールオン4はインプラント手術を行いますので、持病があるなど、インプラント手術が可能かどうかを調べる必要があります。他にもお口の状態など、オールオン4での治療が出来ない場合がありますので、オールオン4を検討しておられる方は、治療を受けられるかどうか初診カウンセリングでご確認ください。