インプラントは良く噛めて食事もおいしい



インプラントの歯で噛めるようになることの幸せ


インプラントはブリッジや入れ歯と比べてしっかり力を入れて噛むことが出来ます。歯は本来、歯根と呼ばれる歯の根で噛む時の力を支えます。インプラントの場合は人工歯根をあごの骨に埋め込んでいますので、天然の歯と同じように噛む力がしっかりと骨に伝わります。

一方、ブリッジや入れ歯は構造上、義歯の部分の歯根がないために力をしっかりと支えることが出来ません。ブリッジも入れ歯も、両隣の歯で固定されており、垂直的な力は歯ぐきが支えることになります。そのため、歯根に支えられているインプラントに比べるとどうしても強い力で支えることが出来ません。

インプラントは隣の歯を痛めることがないという大きな特徴がありますが、もう一つの特徴は「良く噛める」ということです。セラミックを被せれば、見た目は天然の歯と変わりません。異物感もありませんし、インプラント治療後しばらくすると、患者さんご本人にもどの歯がインプラントなのか、見ただけではわからない位になります。

失った歯がまだ健康だった頃は、全く違和感なく何でも噛めていたと思います。インプラント治療後はそれと同じ感覚になります。歯のことで不自由しておられた患者さんは、殆どの方がインプラントで噛めることの喜びをお話してくださいます。

インプラント治療後、若くなったと言われてニンマリ


インプラント治療が終わってよく噛めるようになると、ご家族や友人の方から「見た目が若くなったね」と言われることが多いというお話を、患者さんからよくおききします。
その理由を考えてみました。

まず、今まで歯がなかったために頬や鼻の下等が萎んだように見えていたが、歯が入ったことで内部から押されて、ふくらみが戻ったということです。

次に、しっかり噛むことによって頬の筋肉が使われ始め、フェイスラインが引き締まったと考えられます。

最後は何といっても歯が入ったことで性格が明るく積極的になられた結果ではないかと思います。今までは外食や旅行を控えていた方が、家族や友人の方と楽しく外食や旅行を楽しめるようになったために、以前と比べて表情が生き生きとして健康的に見え、「見た目が若くなった」という感想につながったのではないでしょうか。

インプラント治療をされた患者さんたちは、多かれ少なかれこういった体験をされていると思います。男性も女性も、若くなったといわれて気を悪くする方はおられないのではないでしょうか。むしろ最高に嬉しい褒め言葉ですよね。食事や旅行やスポーツ等、これからの生活を精一杯エンジョイしていただきたいです。

インプラントは永久歯の先天性欠如の強い味方

近年、子どもの歯並びが悪くなる一方です。それは食生活が変わって硬いものをあまり食べなくなった結果、顎の骨が発達せず、小さな顎に全ての歯が並びきらないためだと言われています。

子どもの10人に1人は永久歯に先天性欠如がある?





永久歯に先天性欠如があり、永久歯が生えてこない部分のある子どもも増えてきています。日本小児学会の公開講座では2010年の段階で、1本以上の永久歯が生えてこない子どもが10%いるという調査結果が発表されています。
10%といえば10人に一人ですから、かなりの確率になりますね。


永久歯に先天性欠如がみつかったらどうしたらいい?





このような永久歯に先天性欠如があって永久歯が生えてこない場合は、その部分の乳歯を大切に一生使うことになります。ただし、大事にしても乳歯が一生もつことは極めてまれで、大体は大人になる頃にはぐらぐらし始め、抜けてしまうことが多いです。

その後は入れ歯やブリッジをしなければならないかというと、近年ではインプラントをする方が増えています。入れ歯をするには若すぎるし、ブリッジは健康な歯を2本削らなければならないというのがその理由です。ただし、インプラント治療を受けるには成長期が終わっていなければなりません。だいたい16才くらいからインプラント治療が可能になります。

大切な乳歯が抜けてしまった場合はすぐに治療しましょう


乳歯が残っている間は問題無く噛めますが、抜けてしまってからは速やかに治療して歯のない部分を補わねばなりません。何年も放置すると隣の歯が空いたスペースに倒れてきたり、全体の咬み合わせが悪くなることがあります。若い方の歯周組織は柔らかいため歯が動きやすく、注意が必要です。

何れにしても、永久歯に先天性欠如がある場合は定期的に受診し、歯科医師の指導のもとに日常生活を送っていただくのがよいと思います。

ちなみに、先天性欠如の原因はわかっていません。栄養が足りないからとか、人間の顎が退化していっているから等と言われていますが、実際には原因不明とされています。そのため予防も出来ない状態にあります。

歯を抜いたまま治療せずに放っておくと危険

むし歯や歯周病や事故等で歯を失ってしまったときに、前歯は目立つのですぐに歯科医院に駆け込むかもしれません。しかし、奥歯は他人から見えないために「1本くらいなくても大丈夫」「意外と気にならない」などと言って放置してしまう場合があります。

歯は隣の歯と隙間なく互いに押し合うことで全体のバランスを保っています。その中の1本を失うことで全体のバランスが崩れてしまい、気がついたらとんでもない状態になってしまうこともあります。


抜けたスペースに隣の歯が倒れてくる




歯が抜けた場合、隣の歯が空いたスペースをつぶそうとどんどん倒れてきます。それだけではなく、下の歯が抜けた場合は上の噛み合わせの相手方の歯が下りてきてしまいます。ひどい状態になると下の歯ぐきとぶつかるくらいまで落ちてきます。


抜けたスペースに噛み合う相手の歯が伸びてくる




逆に下の歯があって上の歯がなくなった場合も、下の歯がどんどん伸びてきてしまいます。その形のまんま数年間放置した状態で、伸びあがってきたままの相手側の歯を治療した場合は、インプラントにしても入れ歯にしても非常に噛むことが難しくなってしまいます。
そのため放置した歯をそのままにして時間をかけて置いておかない方がいいです。

本来は抜けた歯だけの治療で済んでいたものが、隣の歯が倒れてきたために隣の歯まで治療しなければならなくなります。上の歯が落ちてきているのであれば、上の歯を元の位置に戻すような治療が必要になってきます。

戻す治療というのは具体的には二つしかありません。一つは歯を短く切ってしまうという方法で、中の神経は当然取られてしまいます。
もう一つは矯正治療です。若い方々がされている歯列矯正をすることになります。
インプラント治療をされる方の平均年齢は当院では69歳ですが、60代の方でも必要があれば矯正治療をする場合があります。そして伸びた歯だけを治療するだけでなく、矯正治療をするならどうせなら全部きれいにしましょうということで、矯正をすることできちんとした噛み合わせが出来ます。


歯がないと骨が痩せてしまう


歯がなくなったために噛む力が骨に加わらなくなると、その部分の骨が痩せてきてしまいます。歯があった時にはかなり高さのあった顎骨が、歯が抜けてしまうとどんどん痩せてきて、薄くなってしまいます。

顎の骨が薄くなると入れ歯が安定しませんし、インプラントも増骨の処置が必要になるために治療期間や費用が多くかかってしまいます。
歯が抜けたまま治療せずに放っておいたために骨が痩せると、いざ治療しようとした時に様々な問題が起こり、治療がより難しくなります。


私たちのインプラント治療のポリシーは「長持ちさせる」ということですので、インプラント治療の前に治すべきところはきちんと治して、全体的に長持ちさせるように考えています。
歯を抜けたままにしているということは、このように後の治療が大変なことになりますので、抜けたままあまり長く置いておかない方が良いです。

インプラント周囲炎と歯肉炎の類似点

現在では多くの患者さんがインプラント治療を受けておられ、インプラント治療が可能な歯科医院もどんどん増えています。数年前にインプラント手術の危険性についてテレビや雑誌で取り沙汰されましたが、その後、インプラント手術が安全に行われるようになるにつれ、インプラント治療後のメンテナンスの重要性が議論されるようになってきました。

インプラント周囲の骨が細菌感染によって吸収されるインプラント周囲炎にかかっている患者さんが増えており、どのようにしてそれを予防し、また対処するかが今後の歯科医療の大きな問題となってきています。

インプラント周囲炎にかかってしまうと、歯周病と比べてインプラント周囲の骨は急速に吸収されてなくなっていきます。歯周病がすすむと歯が抜けてしまうように、インプラント周囲炎が悪化するとインプラントが抜けてしまうのです。そのため、歯科医院ではインプラント治療後の患者さんに対して定期的にメンテナンスに通うように呼びかけています。

さて、ここでインプラント周囲炎と歯肉炎の類似点等についてみていきましょう。

粘膜炎


動物実験やヒト生検標本から、インプラント周囲粘膜の炎症と歯肉炎が良く似ていることが確認されています。さらに歯肉やインプラント周囲粘膜辺縁部の結合組織が細菌に反応して起こる炎症は、同じパターンをたどり、2つの病変の炎症性細胞の組成も類似しています(図6-7)。
歯肉炎と粘膜炎は治癒して元に戻る状況であり、炎症は適切な手当やメンテナンス等の感染管理手段の対策をとることで完全に消し去る事ができます。

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インプラント周囲炎


インプラント周囲炎は粘膜炎とは対照的に、歯周炎とは大きく異なる特徴があります(図8-9)。
歯周炎で起こる炎症は、歯肉の上皮化結合組織部位に限定されており、1mm幅の密な結合組織ゾーンによって歯槽骨から分離されています。
さらに、ポケット領域はポケット上皮が最根尖側で歯根面と接触しているため、ポケット内の最近のバイオフィルムを遮断し、直接触れないようになっています。

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インプラント周囲炎もまた、細菌が増殖するポケットが存在するという点では、同じです。
しかし、歯周炎のポケット上皮とは対照的にインプラント周囲炎の上皮はポケット全体を覆っていません。その結果、ポケット内の根尖側から3分の1の炎症組織は覆われておらず直接バイオフィルムと接触してしまっています。

歯周炎とのもう1つの相違点は、インプラント周囲炎の炎症の広がり方です。
歯周炎ではその病変は結合組織ゾーンで歯槽骨から分離されていますが、インプラント周囲炎の病変は、骨表面に近接した位置まで広がります。疾患の治療のための方針を選択する際、歯周炎とインプラント周囲炎とのこれらの違いを理解することが重要になります。

インプラント周囲炎を放っておくことのないように注意しましょう。